長文部屋

□A secret meeting
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『これ以上は何もいえねぇ。』

その言葉に青峰が怒り殴った。慌てて緑間が止めるが、火神は下を向いたままただ謝るばかりだった。
自分たちは余りにも黒子を知ら無すぎた。
それは今、彼が見つからないという事に比例しているようで常に頭の中がガンガンする。
黒子と共に過ごす帝光生活を夢見ていたのにどうしてこうなった…?
今、彼はどうしているのだろう。
考えたくは無いが、生きている…?

もう、生きていてくれればそれでいいとさえ思えてきてしまっている。

そうすれば必ず見つかる。だから…
皆、探すことを辞めないでいた。



そんな時、控えめなノック音が響いた。
返事を返す前に開くとそこにはふわふわの柔らかい黒髪のあの女性が。
申し訳なさそうに入ってくる。

「皆様、お疲れ様です。」

「あぁ、華林さん。いつもすみません。」

赤司、青峰、黄瀬、紫原、桃井は彼女を見ると当たり前に室内に入れた。
華林はゆったり入ると手に持っていた物を前に出す。

「皆様、お疲れでしょう?甘いものを持ってきましたの。」

「ありがとう。少し休もうか。」

「お茶を入れてまいりますわ。」

「いや、君にそんな事を頼むのは…」

「皆様、お友達の黒子さんを探していてお疲れでしょう?私はこれくらいしかできませんから…これ位やらせてください。」

そう言って奥の給湯室に向かう。
安心しきった彼等を背にして華林はうっそりと笑った。

(ふふっ。計画通り)

華林は名家の娘であった。
昔から華林はキセキ達と面識があったのだ。
赤司は代議士の息子、緑間は代議士達の依頼を受ける弁護士の息子、青峰は警視総監、黄瀬は某有名会社の社長の息子、紫原は有名な某お菓子会社の息子である。
そして桃井は有名な研究者の娘。
ちぐはぐな組み合わせではあるが、それぞれの父親がこれまた幼馴染だったり学友だったりするのだ。
華林は自分の父親とキセキの父親たちが学友でもあり、何度か顔合わせをしていた。
それもあるので、彼女がキセキ達につけ入るのは容易いものだった。
黒子が消えて3日位経った頃からこの生徒会室に差し入れを持ってくるようになり、気が滅入っているところに優しい言葉をかけられて…万能である彼等も所詮子ども。心を許してしまうのは仕方のないことだった。



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