長文部屋
□Signal
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「うっ…」
先ほど火神の前から走り去った池田は女子トイレに飛び込み胃の中の物を吐き出していた。
崩れ落ちるように座り込み、口元を拭いながら携帯を取り出すとそれを耳に当てた。
「ど、う?みつ…かったの…?」
『いえ。未だに。』
「はや、く、しないと…私たちのみ、がもたない…わ。」
『確かに。こちらもほとんどの者が倒れております。』
「ま、さか…彼の身一つで…こんなになるなんて…おもって、も、いな、かった…。」
『確かに。しかし、これで証明できたでしょう?どれだけ黒子テツヤがこの世界・・・いや、この力を持つ者にとって大事かを。』
苦しみながらも少し話すと携帯を閉じた。
唸りながらも力を入れて立ち上がり、体育館へと歩き出す。
「こ、うしちゃ・・・いら、れない…せ、かく、彼の、力を消しかけてたのに…。」
ギリギリと歯を軋ませながら壁伝いに歩く。
目標は火神大我。
「仕方ない…自分の命に、は、代えられない。」
ぐっと腹の力を込めて池田は走り出す。
体育館の入り口までたどり着き、赤毛を見つけると大声で名前を呼んだ。
「火神君!」
「…あ?大丈夫か?さっきからおまえおかしいぞ?」
顔色を伺うように近づく火神に池田はすがるように右腕にしがみついた。
「お願い、黒子君を助けて!!」
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