長文部屋

□for whom 2
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『ホゥー    ホゥー     』






時は夕刻。
城の中は蝋燭の明かりに照らされて何とも言えない雰囲気を醸し出す。
大我は外で鳴く梟の声がする度に肩を震わせ目的地まで歩いていた。
目的地…そこはあの部屋。
数時間前に迷い込んだ場所に向かっていた。
ドアを開けるとベッドの下にお座りしていた犬と目が合う。
ウッと息を詰めるがその犬が近づいてこない事を確認して犬とは反対側のベッド脇へと向かう。

未だに眠り続けるこの男。
この男が本当にあの伝説にもなった力を持つ者なのだろうか。
島村が言った”世界の鍵“とははるか昔から言い伝えられている言葉の一つである。

この世界には魔法と言う物が存在する。
昔々のはるか昔、人々はみな魔力を持っていた。
しかしそれは年を重ねるごとに弱まり、近代では魔法使いとは稀に見る者であり異端とされている。
異端となってしまった理由は何個かある。
ある話では魔法を使って力の無い人間を奴隷にした魔法使い達がいた事によって彼等の地位が下落しいつしか逆に奴隷にされていったとか。
もう一つは魔力が使えないこの近代、人間たちは魔力を持つ者を国の武器として使い世界をわが手にしようとしているとか。

まぁ、色々あるのだが、全てに対して魔力を持つ者は人間として見られなくなってきているのだ。
先ほど言われた“世界の鍵”と言うのも魔力の中でも一番位の高いものがあり、その魔力を手にしたものは絶対的に世界を征服できるというのがあるのだ。

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