長文部屋

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黒子とキセキ達が出会ったのは1歳の頃。
入園して同じクラスになった。まだはっきりと物事を理解できない年だったのだが、気づくとい側にいることが多かったと後に親から聞いた。
そんな事もあり、母親同士が仲良くなりそれぞれの家に行って遊ぶことも多くなった。
そして2歳の頃にはとても仲の良い兄弟のような関係になっていった。
その中でも中心の様な存在だったのが黒子だった。
皆、年齢も背丈も同じだったが人一倍幼く見える黒子に赤司、紫原、緑間、青峰、黄瀬は守ってあげなければと兄意識が強まっていた。
しかし、意外や意外、彼等よりも逞しかったのが黒子であった。

雷が鳴って震える5人を笑顔で抱きしめて守ってくれたり、通り道に大きい犬がいて恐怖に通れないでいれば黒子が縦になってくれたり、今ではあり得ない話だが、いじめられそうになったら助けてくれた事もあった。
とにかく顔に似合わず黒子は強かったのだ。
尊敬にも値するほどの背中を見て育つキセキ達は彼に絶対的な信頼感を持っていた。
彼ならどうにかしてくれる。そう、頼っていたのもあった。
兄意識はあるものの、全て彼に頼っていた面もある。まぁ、こどもだったと言ってしまえばそれまでだ。
そうやって6人で生きてきたのだが、別れは突然やってきた。

黒子の引っ越しによって。


どうして?どうしてとおくにいっちゃうの?

ずっといっしょにいればいいじゃないか。


そんな思いが胸に湧き上がるが、5歳になればなんとなく融通が利かない事も分かってきている年でもある。
一度だけ、素直に言ってしまったことがあった。
それは初めて引っ越すと聞いた時。
ショックの余り叫んでしまった5人。

「なんで?なんでっすか!?いやっす!くろこっちはずっとおれたちといっしょっす!」

「ふざけんなよ!おれたちといっしょにいたくなくなったのかよ!」

「ひどいのだよ!ずっといっしょだといったではないか!」

「いやだよ!すぐにやめるっていってきてよくろちん。」

「てつや、ぼくたちとずっといっしょだろ?」

いつも困った時は助けてくれたのは黒子だった。自分たちがお願いすればなんでも聞いてくれた。だから今回だって…と。
その言葉は黒子をどんなに傷つけたろうか。
ハッとした時にはもう遅かった。

「ご、ごめ・・・なさい。」

目に一杯の涙を溜めてつぶやく黒子がいた。
自然とボロボロと零しながら繰り返す謝罪に5人は言葉を失ってしまった。


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