短編

□祈り
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あれから11年が経った。

桜の舞う、小学校の卒業式。
黒子は空を見上げていた。
幼かったあの時、あれから彼等には一度も会うことはなかったけれど、帝光に行く…その約束を糧に生きてこれた。
夢かもしれない。けれど、あれは夢じゃないとそう思えた。
私立である帝光に行くには並々ならぬ努力もあったが、彼等に会うため、諦めずに無事受かることが出来たのだ。
来月からはきっと会える…こんなに嬉しい事はない。

あの頃のように忘れられていたらという不安はない。全てあの夢が消し去ってくれたから。

意識を昔に向けていたら、頭を叩かれた。
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