頂き物

□イジメたくなる人
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「ねぇ昴」


「何…いひゃい、いひゃいって」
















イジメたくなる人






呼ばれてエンヴィーの方向いたら思いっきり頬をつねられた。


いや、何か微笑ましいカップルに見えるかもしれないけどこれめっちゃ痛いからね。


「わー、昴変な顔」


お前のせいだよ、とは言うに言えず。


「…放してほしい?」


その問いかけに軽くうなずくと、エンヴィーは今日一番に輝いているんではないかというくらいの笑顔で言い放った。


「やだ」


…何だこの根性腐りきってるドSは。


何で私こんなのの彼女やってるんだろ。


いや、やだって言われてキュンってしちゃったのは認めるけどさ。


「放してほしかったら…そうだね、僕におねだりしてよ。可愛いーくさ」


「ひゃ、ひゃなひてくらはい」


「えー、ひゃなひてってなにー?」


…一生放してくれないんじゃなかろうか。


どうしよう、ちょっと頬ヒリヒリしてきたし。


エンヴィーは軽くやっているつもりだろうが、こちらとしては果てしなく痛いのだ。


「しょうがないなー…。んじゃチョコパフェ作って。それで放してあげる」


「ちゅくる、ちゅくるからひゃなひへ」(作る、作るから放して)


「あ、10分以内に出来なかったらお仕置きね」


「いや、無理だから」

「ねー、パフェまだ?」


「今作ってるでしょ!?チョコ溶かすのだって時間いるんだからね!?」


「はぁ?このエンヴィーを待たせようっての?いい根性してんな」


「…もう少しで出来るからさ」


ヤバい、キュンときたなんて絶対言えない。


…どうしよう、最近自分が分からないよ。いやマジでさ。


昔はこんな事は無かった。


ハッキリ言って愛想の無い、ツンとした性格だったのに。


『へぇ?昴っていうんだ。いきなりだけどさ、ちょっと家入れて』


あの時家に入れた自分はおかしかった、間違いなく。


「昴ー、まだ?」


「あとアイスだけだから待って!」


冷凍庫に常に入っているアイス。


ハッキリ言って邪魔だったりする。


好きな人の為にしても、結構不便な時があるので困っているのは確かだ。


「…はい、できあがり」


ミントを可愛らしく乗せてスプーンをさせば、あーら不思議。


あっという間にカフェとかで見かけるパフェができあが…


「マズイ」


「…んな単刀直入に言わなくても」


「だってマズイものはマズイ。テンパリングがなってないよ。あとバニラ入れるのが早すぎ。溶けて残念な感じになってる」


ベラベラとずっとパフェに対しての不満を言っているエンヴィーに、さすがに怒りが爆発した。


「……エンヴィーのバカーーーーーー!!!」


「え、な、何!?」


「いっつもそうやってダメ出しばっかしてさ…!!こっちの気持ちにもなれっての!そりゃ私Mだよ!?」


「それ認めるのかよ」


「でも…っ、好きな人には美味しかったって言ってほしいの!今まで…言われたこと無いし…」


言いきった後に、ボロボロと涙が溢れた。


それに気付き、エンヴィーが目を見開く。


「い、いや、別にホントにマズ…」


「…っ、エンヴィーのアホ!ハゲろ!」


「はぁ!?何ハゲろって!?…つか大体、女のくせにパフェ一つ満足に作れないあんたが悪いんだろ!」


「べっ、別にパフェ作れなくても生きていけるし!」


ボロボロ流れてくる涙で視界が滲む。


情けない、という感情よりも、ハッキリ言って…。


「…昴、顔見せて」


人の泣き顔見て嬉しそうにしてるこいつがウザいという感情の方がデカイ。


「エンヴィーの………バカーーーーー!!!」


「僕はバカじゃなくてバカワイイの!」


「可愛いわけあるか!」


もうこうなったら出てく!


この家私のだけど絶対出てくんだから!!


そ、そりゃ1000万センズで買ったマンションだし?


名残惜しいって気持ちはあるけど…もうこの変態ドS露出狂男女と何か暮らせるわけがない!


「という訳で、実家に帰らせていただきます」


「はぁ?そんなのこのエンヴィーが許すはずないだろ?」


「絶対出てくもん!」


「はぁ!?つか出て行ってどこにいく気だよ!?」


「エドのとこ行くもん!」


そうだよ、私には幼馴染みのエドがいるし!


困った時は大体エドのところに行く。だってエド優しくて落ち着くし。


「…ふざけてんじゃねーよ、クソが」


低い声が聞こえたと思ったら、私の横を拳が通りすぎた。


私の真後ろの壁に当たり、ドンッという音が部屋中に響く。


「…まさか本気で言ってんじゃないだろうな」


「う、うう嘘でこんな事いうはずないでしょ!!」


つい強がって言ってみたものの、今目の前で自分を捕らえている紅色の目を見るとどうしてもすくんでしまう。


「はっ、ふざけるなよ。人間が」


荒々しく掴まれた右手。


初めて、この人を怖いと思った。


「あんたは一生僕のものだ。何があっても手放すつもりなんか毛頭ない」


「………っ!」


息が詰まりそうな空気の中で、エンヴィーが更に言葉を続けた。


「…それから、別にパフェマズイってわけじゃないから」


「…………え?」


「ただ単にあんたの泣いてる顔が見たかっただけだしね」


「…………じゃ、じゃあエンヴィーは私で……」


「そう、昴で遊んでたんだよ」


…私の彼氏は、修正のきかないドSです。








(私の涙って一体………)


(ま、簡単に言えば無駄な涙流したって事だね)


(……)












はい、2828止まりませんがなにか?
s好きなんで(((((

いつも仲良くしてくださり、ありがとうございます!!
これからもよろしくお願いします!!!

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