dream
□「呪い… 成功…。」
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朝、学校に行ったら杏奈がいなかった。
かわりに杏奈の机にかわいらしい薄紫色のお花が縹色の花瓶の中に入って置いてあった。
杏奈は死んだのだった。
私は悲しみもせず、喜びもせず、あまりの出来事にどうしてよいのかわからず、ただ茫然と立ち尽くしていた。
その後、いくら嫌いな人とはいえども、人が死んでは喜んではいけないという良心と醜い感情が葛藤していた。
気持ちの整理をしようと裏庭に行くことにした。
「どうしてそんな茫然とした顔をしているんだい?」
背後に現れたのは見知らぬフードを被った小柄な少年が立っていた。
「君は杏奈のことを死ぬほど憎んでいたよね?」
「あんなやつ、『死ねばいいのに』って言ってたよね!?」
零名の中に黒い塊が溢れ出てきた。
「貴方誰・・・?まさかあなたのしわざなの!?」
少年は気味悪く微笑んだ。
「オレは黒上呪。そうだとも。この僕が杏奈を呪い殺したのさ。」
「っ・・・!!?」
零名は身を強張らし、後ずさりした。
呪という少年は零名に近寄って囁いた。
「オレさ、零名が前から好きなんだよね。だから零名の苦しんでるところなんて見たくないのさ。」
「だからさ、零名の嫌いな奴はオレがぜーんぶ呪い殺してあげるよ・・・!」
「だからさぁ、そんな怯えた顔しないでくれよ・・・・♪」
「っ・・・!!!」
零名の脳内をどす黒い不安が支配した。
零名は強張った体を動かしその場から一目散に逃げ出した。
「・・・くそっ。なんだよ!!せっかく呪い殺してやったんだぞ!!少しはオレのこと好きになってもいいじゃねえかよ!!」
呪は地面を蹴っ飛ばした。
「フン・・・零名。オレのおそろしさを思い知れ!」
そして呪はフードを更に深く被り、小さな石灰石をポケットの中から取り出したのだった・・・・。