dream
□ 曼珠沙華
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「俺の体、みすぼらしいだろ?」
へへっと自嘲しながら渡は上半身を露わにした。
彼の青白く光る躰はすっかり暗くなった夜の闇にはっきりと浮かび上がっている。
そのおかげで、寒々しく透けた肋骨や青筋がはっきり見える。
しかし私はそれらに見とれている余裕などなかった。
胸、腹、二の腕など、体中の至るところに痛々しい傷痕が残っているのだ。
確かに彼の言うとおり、彼の今の体はみすぼらしいものかもしれない。
しかし私は、以前に見た傷一つ無い彼の体よりも傷だらけのそれの方がずっとずっと美しいと思った。
みすぼらしくも美しい彼の躰・・・・。
早くあのみすぼらしくて美しい躰に触れたい・・・。
でも触れるのが怖くて、凝視しているだけだった。
私が触れてしまったら、彼は壊れてしまうんじゃないかと思ったのだ。
それどころか、吹いている冷たい風に吹かれるだけで壊れてしまいそうなほど、久しぶりに会う彼は弱弱しく見えた。
「零名・・・。零名に触れてもいい?」
「うん・・・。」
内心躊躇っていたが、彼のことばに私の中で一人でもやもやしていたものが消えていった。
私は黒いブラウスと胸を覆っていた白い下着を外した。
つるんとした白い自分の体が自分の目には情けなく映った。