*Long2*
□となりの彼氏 30
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嬉しいことが続きすぎていると、
幸せすぎるとなんだかその先が不安になるように、
物事とはすべてが上手くいくわけではない。
「…まじですか」
夏休みに入って一週間、悠々自適、
バイトとぐうたら涼しい図書館生活をしていた私の元にそれはやってきた。
その日は快晴で、暑いけれどそれが逆に清々しくって
いつだかのように洗濯物をるんるんで干している時にやってきた。
汗をぬぐいながら一息、ベランダから部屋に入った時に
携帯が鳴った。
見れば懐かしい、マネージャー派遣サークルの代表からである。
若干嫌な予感がしないわけじゃなかったけど、その時はそれよりも
なんだろう?という疑問が勝ったわけで。
開いてみれば長文。
びっしりとした長文。時々困った時に使う絵文字と顔文字。
内容を簡潔にまとめるとこう
『名無しさんちゃんは確か文学部英文学科だったよね。
貴方が辞めたのはわかっているのだけど力が必要なのっ!お願いっ、10日後のこの日だけでいいから通訳として仕事を手伝ってほしいの!』
訳:英語ができるマネージャーがほしいからやってくれ
『2年生の夏休みだから色々あるかとは思うけど、今回のマネージャー業は
大きなものだし、本当に限られた人にしか頼んでないの。それに就活のネタにもきっとなると思うんだよね』
訳:お前暇だろ。就活準備も何もしてないだろうしやっとけ
はっきりいって、
清々しい気持ちはふっとんだ。
代わりにずぅんという重いものが入りこんでくる。
しかも10日後のこの日って…
「…夏祭りの日だし…」
文面では通訳だけ、と言っているけど、
きっとマネージャー業務だってやるだろう。
それでなくても今マネージャー派遣サークルは人手が足りないらしいから。
あ、人気がなくって人数が足りないんじゃなくって、逆に人気で依頼が絶えないらしいです。
うーん、元サークルメンバーとしては喜ぶところなのかどうなのか。
夜までには終わるのだろうけど、
夕方の時間帯によってはかなり厳しくなってくる。
でも来年の暮れに控えた就職活動のことを出されると弱い。
でも…
どうしようと考えていたら
再び携帯が鳴った。
見れば風丸君からで
Subタイトルに悪い!という文字があったのを見た時、おや、と思った。
もしかして、このパターンは…
送信者:風丸一郎太
Sub:悪い!
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夏祭りの日、円堂たちの方のサッカーサークルの試合が入って、
行けるかどうか厳しくなった。
自分から誘っておいて本当にごめん。
また連絡する。
けどもしも別の予定が入ったらそっちを優先していいから。
「…まじですかっ」
さっきと全く同じセリフを叫んで
ベットに倒れこんだ。
あぁ…人生は上手くいかない。