*Long2*

□となりの彼氏 26
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今私は猛烈に後悔している。


「名無しさんさん、だ、大丈夫ですか?」

「・・・大丈夫です」



ずーん、と暗い顔で返事をすれば
先ほど打ち解けた春奈ちゃんが苦笑する。


・・・恥ずかしいっ、穴があったら入りたいってきっとこういうことだ。

でも穴なんてないし、川にとびこむわけにもいかないので
こうして私は無心で野菜を切ることに専念している。


「せっかくのバーベキューなんだもの、全部水に流して楽しみましょ!」

「お野菜切ってれば、すぐに忘れちゃいますよ」


秋ちゃんと冬花ちゃんが励ますように微笑むから
そこで初めて私も力なくだけど微笑んだ。



先ほど鬼道君に会った後、
再会した幼馴染に文句を爆発させたところに
皆のキャプテン、そしてこのバーベキューを主催した団体の代表である円堂守なる人が現れた。



「いやー、遅れて悪い悪いっ・・・ってどうした?」




皆があの雰囲気の中右往左往、
そして私が修也を睨みつける中

あの屈託のない笑顔はまさに天の助けだったと思う。



想像していたよりも
体格とかは普通だったけど
こう、何か人を惹きつけるオーラのある人だなぁと思った。



白い歯と、どこか幼い印象を受ける笑顔は
あの場の微妙な雰囲気を吹き飛ばした。




「あ、あぁ、円堂君」

「キャプテン、着いたんだね」

「こちらは柏木名無しさんさんだ」

「ぼ、僕たちが呼んだんだ」



ヒロト君、吹雪君、鬼道君、マックス君が順々に口を開けば

「そっか!」とニカッと笑う。




「俺、円堂守!よろしくな!」



そして太陽に負けないくらい
はつらつにそう言うと
私に掌を差し出したのだった。




・・・まさにキャプテンっ




その後鬼道君の指示によって皆が各自バーベキューの準備にとりかかり
私は人手が足りていなかったという調理を頼まれた。


そして仲良くなった元・雷門中マネージャーさんたちに混じって
後悔にまみれながら野菜を切っていたというわけです。


・・・第一印象が、心配すぎるっ
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