*Long2*
□となりの彼氏 10
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「あれから風丸にもこっぴどく怒られてさ−」
「いやぁ、あんな風丸久しぶりに見たな」
「僕DE時代を思い出しちゃったよ」
「あ、俺も−」
もぐもぐと私は久しぶりの食堂の日替わり定食を味わいながら
2人の話を聞いている。
猫耳帽子の松野 空介君
茶髪の半田 真一君は とっても仲が良い。
「・・・こんなんで本当にいいの?」
「ん?いいよ―」
「柏木さんって・・・、天使?」
「いや、本当に天使ならおごってもらうのも断ってるよ」
笑った私に2人もほっとしたように笑みをこぼす。
あの後周囲の人に大注目を浴びた私たち(主に私)は
2人になんとか顔をあげてもらうと
3人で席についた。
そうしてまた「すみませんでしたっ」と謝る2人にもういいよと言っても聞かず
「じゃあおごる!」と叫んだ松野君と半田君に
こうしてご飯をおごってもらっているのだった。
わ−いっ、
今日の日替わり定食はクリームコロッケだっ
「あ、僕のことはマックス、って呼んでねっ」
「マックス?」
「こいつのあだ名なんだ」
半田君の解説、
中学校時代からの腐れ縁、なんて言ってたけど
さっきからのやりとりを見れば本当に良いコンビだと思う。
「っていうかまさか同じ大学だったなんてびっくりしたよ」
「私もっ」
「俺も俺も−っ!風丸があんなに怒るから
てっきり風丸と同じ大学かと思ったよ」
私と同じくクリームコロッケをぱくつく松野君、じゃなくてマックスにそう言えば
半田君も笑いながら同意した。
風丸・・・?ってさっきからよく聞くけど
お隣さんの名前なのかな
「風丸、って502号室の?」
「えっ?何、仲良いんじゃないのっ!?」
驚く半田君、
隣では亜理沙がいつだかしていたようにマックスが半田君のお皿を狙っている。
というか、仲良い風に見えたのか・・・
ちょっとだけ、嬉しいかも・・・っ
なんだか照れくさくなって無意味にご飯を口に運ぶ
「仲良いっていうか、普通にご近所づきあいさせてもらってます」
「ふぅん、風丸があんなに怒るのって仲良いやつくらいだからさ」
あっ、マックスお前っ!
へっへ−んっ、半田はご飯とみそ汁、キャベツだけでいいんだよっ
華麗な箸さばきでコロッケをとっていったマックス
半田君から柏木さんも何とか言ってくれよっ、なんて言われるけど
私はさっきから緩みそうになる頬と、うるさい心臓を黙らせるので精いっぱいだ
・・・仲、良いと思っても良いのかなぁ
で、でも全然知らないし、名前だって今知ったくらいだし・・・
「そうだったんだぁ・・・」
「そうそうっ!」
ぱくっ、と半田君のおかずを口におさめたマックスは
大きな瞳でニッコリ笑うと突然思いついたように声をあげた。