*Long2*
□となりの彼氏 1
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「う−ん、今月で半年、かな?」
あの子も
「休み?
遊園地に行こうって予定立ててるのっ」
この子も
「・・・今度、デートに誘ってみようと思うんだけどどうすればいいかな」
皆み―んなっ、恋をしている。
カラオケに来たはずなのに、
とある恋愛を題材にしたバラードを歌ったことをきっかけに
気がつけばなぜか恋話大会がスタート。
「...」
1人じゅるるるると
ドリンクをすすりながら、
恋を楽しみ、微笑み、悩める友人たちの会話を聞いている私は
残念ながら話に入りきれていない。
...だって私、彼氏いないし
「名無しさんは誰かいいなぁって
思う人いないの?」
「・・・いないの」
好きな人も、いいなぁって思う人も
いないのだ。
「そっかぁ、大学ってさぁ、出会いありそうでないよね」
「合コンだって一部の人たちでやってるようなもんだもんね」
「いやいやその前に合コンに来るようなやつなんて遊んでるよ」
あ、そ、ん、で、るっ! と
びしっと指を立てて言ったのは
現在彼氏さんと付き合って半年の麻衣だ。
相変わらず美人さんなのに強烈だな...
「いい人見つかるといいね―っ」
「大丈夫、名無しさん、可愛いんだからっ」
「そうそう、それは私たちが保証する!」
「あは、ありがとう」
友人たちから励ましの言葉と
なぜか保障を貰って苦笑する。
「でさ、」
そして再び話に戻る皆を見て
静かにうなだれた。
だって皆が輝いて見える。
なんだかとっても当てられた気分だし
やっぱりうらやましい
...花の女子大生なのに、ぐすん
とか思ってみる。
皆にあって私にないものはなんなのだろう?
顔...はまぁ置いといて、
後はそんなに変わらないと思うんだけどなぁ...
行動力?あ、女子力?
ハッ、まさか...っ
「む、胸っ!?」
「はぁっ!?」
考えが飛躍した私と
思わず口をでたとんでもない答えに
皆の素っ頓狂な声が
カラオケボックスに響きわたった。