IS 〜天使の翼〜
□第6話
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「つまり二人は以前からISを作っていてコアの量産が出来たから行動を起こした……これで間違いないか?」
「「はい、その通りです」」
「はぁ……それで、束これからどうするんだ?」
「そうだねぇ……しばらくは身を隠すよ。コアはソラちゃんも作れるけど言って無いから大丈夫だよ」
私と千冬お姉ちゃんは無事に撤退して家に帰ることができた。
しかし、あれだけの事をしてニュースにならないはずがない。
束お姉ちゃんは私達が撤退した後に世界中にISを発表した。
そして世界が変わった……
現行の戦闘兵器はISの前ではただの鉄クズに等しい。そのため世界の軍事バランスは崩壊した。
しかも、開発者は束お姉ちゃんのため日本は独占的にIS技術を保有していることになる。
当然、世界各国が黙ってなくIS運用協定――通称『アラスカ条約』によってISの情報開示と共有、研究のための超国家機関設立、軍事利用の禁止などが決められた。
束お姉ちゃんは発表した後、部屋にコアだけを残して姿を消した。
箒ちゃんとは政府の保護プログラムのため、引っ越してしまい一夏君もかなり淋しがっていた。
私達のISは安全のために束お姉ちゃんに預ける事にした。
政府機関は束お姉ちゃんの部屋にあったコアを回収して各国に配った。
研究者達はコアを解析しようとしたが完全にブラックボックスになっていて断念した。
束お姉ちゃんが会見の時に言った「ISを倒せるのはISだけ」と言う言葉の効果で各国の開発も進んだがISに乗れるのは女性だけのため、女性優遇制度など作られ、女尊男卑の風潮が現れつつある。
それからしばらくして、小学5年生になり転校生が私と一夏君のクラスにきた。
「中国から来ました。凰 鈴音です、よろしくお願いします」
「中国人だってー」
「変な名前ー」
「チャイニーズかよ」
クラスの男子達が転校生に向かって言っている。
「ちょっと!転校生に失礼だよ!」
ソラは男子達を注意する。
「そうだ!お前ら何とも思わないのか!」
すかさず一夏君も言ってくれた。
(さすがに初対面の人にその態度はいけないよ)
「あっ、ありがとうね。えーと……」
「私は星神ソラだよ。よろしくね!鈴ちゃん」
「俺は織斑一夏だ。よろしくな!鈴」
「ソラと一夏ね。よろしく」
その日から鈴ちゃんと友達になり毎日一緒に帰っている。
とある休日、鈴ちゃんと一夏君の友達の弾君が遊びに来た。
「「おじゃまします」」
「やっと来たか、鈴、弾。ソラ、来たぞー」
「「えっ!?」」
「いらっしゃい。鈴ちゃん、弾君」
「なっ……何でソラが一夏の家にいるの!?」
「どういう事だ一夏!」
二人は驚いて一夏に問い詰める。
「えーと、その……」
「一夏君、私から説明するよ」
ソラは二人に親がいない事と織斑家に入れてもらったことを話す。
「「ソラ、ゴメン……」」
二人は話を聞くとすぐにソラに謝る。
「二人とも、気にしなくて良いよ」
「「でも……」」
二人は申し訳ない様子で下を見ていた。
「今日は遊びに来たんだから遊ぼう。ね、一夏君」
「ああ、そうだな!」
「そうだ、ケーキあるけど食べる?」
「まったく……ソラ、そういうのは早く言いなさいよ!」
鈴ちゃんは甘いものが好きみたいだね。
「一夏君、持って来るからお皿を用意してね」
「分かった」
シンプルなショートケーキを割ってみんなで食べた。
「「「「いただきます」」」」
皆一口頬張ると目を見開き、驚いた。
「めちゃくちゃ、うめぇぇぇ!」
「美味しい!」
「相変わらず、うまいな」
「美味しいね」
「一体どこの店のケーキなのよ!」
「あ、俺にも教えてくれ!」
「鈴、弾、このケーキはどこにも売ってないぞ」
「「えっ!!」」
「実はこのケーキは作ったんだよ」
「「えっ!!ま、まさか……」」
二人はソラに目を合わせる。
「うん、私が作ったんだよ」
「「嘘ぉぉ!!」」
「ま、負けた……料理だけでなくお菓子までも……」
鈴ちゃんが床に手を付いてものすごく沈んいる。
「料理からお菓子までも作れるのか……ソラの夫は幸せだな」
「弾、ソラは絶対に渡さないぞ!!」
「なっ!?何でそうなるんだよ!」
その後、皆で仲良く遊び楽しい時間は過ぎていった。
そして今、私達はドイツにいます。
千冬お姉ちゃんがISの世界大会『モンド・グロッソ』に出場していて、決勝戦がドイツで行われるため応援に来ました。
優勝者には、ブリュンヒルデという称号が与えられるそうで、第1回優勝者の千冬お姉ちゃんにとって連覇がかかった大事な試合に来ています。
千冬お姉さんは決勝まで勝ち抜き、最後の試合は夜にある。
モンド・グロッソ自体競技は様々あるらしく、射撃や戦闘など、それぞれの部門別での優勝者のうち、もっとも成績の良い人が総合優勝になるらしいです。
「一夏君、何時まで寝ているの?」
「う〜ん?おはよう……ソラ」
一夏君はまだ時差ぼけが治ってないらしくあくびをする。
「今は夜だよ。もうすぐ決勝戦が始まるから移動しよ」
「ああ……分かった」
眠そうな一夏君を部屋から連れてフロアにあるエレベーターに乗るとソラは異変に気がつく。
(なんだろう……?さっき部屋を出た後に黒い格好した人達がずっとついて来ていた。一夏君は……まだ眠そうだから気づいてい無いね。あれ?ロビーの外に黒いの車が数台停まっている。怪しい……)
「一夏君、来て!!」
「えっ!?ま、待ってくれ!!」
ソラはエレベーターが一階に着くと一夏の手を掴みホテルを出て、街中を走り出す。
「ど、どうしたんだ!?ソラ!」
「変な人達に追われている」
後ろを見ると黒い格好をした人達が追いかけきていた。路地に入って逃げていたが、知らない土地のためすぐに追い詰められた。
「お前達何が目的だ!」
一夏君が彼等に質問したが答えは帰って来ない。
「おとなしくついて来なさい、もしくは今すぐに死ぬかい?」
黒い格好の人達の中からリーダーの人が銃を片手に出てきた。
「一夏君、ここはおとなしく従おう……」
こっちは既に追い込まれているため従うしか無い。
「いや!こんな奴らに従うもんか!!」
一夏が反抗的な態度を取ると、リーダーは仲間に指示する。
ソラは後ろから近づいてきた仲間に取り押さえられ、薬をかがされて車に運ばれた。
「おい!ソラを帰せ!!」
一夏はソラを捕まえられて怒り、リーダーに飛び掛かろうとしたが他の仲間に取り押さえられた。
「ソラをどうするつもりだ!!」
「私達は君達の内どちらか一人を拐えば良いのだよ。まあ、二人の方が報酬が高いのだかね。……もし、君が従わなければ殺すだけだ。ああ、彼女についても安心すると良い。まだ子供だかきっと良い商品になるからね。フフッ」
「お前ええぇぇ!!」
リーダーの不適な笑みを見ると一夏は怒りを爆発させ喉元に噛み付こうとしたが取り押さえられて何も出来無い。
「さてと、君はどうする?従うか、死ぬか」
「くっ……従う」
一夏を押さえていた仲間はソラと同様に薬をかがされて、車に乗せられどこかの倉庫に閉じ込められた。
「一夏君、起きて」
「うっ……ソ、ソラ大丈夫だったか?」
「うん、何もされていないよ」
「よかった……ところでここは?」
「私もさっき目が覚めたばかりだから分からない。ただ潮風が吹いてるから何処かの港だと思うよ」
「そうか……一体あいつらの目的は何だ?」
「たぶん、千冬お姉ちゃんかな。私達を使って決勝戦を棄権させるのがあの人達の目的だと思う」
「なんて卑怯な奴らだ」
「だから、私達は逃げないと」
「ああ、そうだな」
私達は倉庫の奥にある部屋に行き、割れてふちのみの窓から逃げた。
「おい!ガキどもが逃げたぞ!探し出せ!!」
見回りで来た手下が異変に気付き他の仲間に知らせる。
(マズイ……とってもマズイ。まさかここまで早くばれるとは……)
ソラ達は港のコンテナの陰に隠れるがその場から動けなくなった。
「まっ!?待ってくれぇぇぇ!!」ザシュッ!
「おっ、おい!あんた何で!?」ドスッ!
「テメェ、よくもやりやがたなあぁぁ!!」
「ちっくしょおぉぉ!!」
「ナメるなぁぁ!!」
グサッ!バキッ!グチャッ!
「――全くガキのごときに何時まで手間取っていやがる。後始末が大変だろうが!」
いきなり悲鳴が聞こえてきて顔を出したら、さっきまで私達を探してた人達の死体があり、その上に八本の脚があるISが立っていた。
ガタッ「しまった!」
「一夏君逃げて!」
一夏君がコンテナにぶつかり居場所がばれた。
「そこかぁぁ!!」
ISは八本の脚から一斉射をした。
ドドドドドッ――!!
そしてコンテナを破壊して私達は爆風で飛ばされた。
『――オータム、その場所がばれたわ。撤退しなさい』
「了解だ」
ISの操縦者は武装をしまい撤退しようとする。
「待ちやがれ!」
「一夏君、駄目ぇ!!」
一夏はソラの言葉を無視して、この場から去ろうとしているISに向かって走る。
「お前は絶対に捕まえる!」
「ふん、分かったぜ……どうやら死にたいようだな!!」
ISは右手にマシンガンを展開して一夏に向ける。
「一夏ぁぁ!!」
とっさにソラは走り出し、一夏を突き飛ばした。
そして……
ガガガガガッ!!
マシンガンの銃口から火が吹き、弾は地面を削り取り、数多の弾丸がソラを襲った。
「チッ!外したか」
『オータム早く帰還しなさい!ブリュンヒルデが来るわ!!』
「済まない、すぐに帰還する」
八本の脚があるISは飛び立ち、暗闇の中に消えて行った。
「ソラ、一夏、一体どこにいる!!」
今、私は二人の家族を探している。決勝戦前に二人が来ると教えてもらっていたが、約束の時間になっても来ないから二人が泊まっているホテルに電話をかけて貰ったが、二人はすでに出ていると言っていた。
そして、私に電話が掛かってきた。電話の内容は決勝戦を棄権しろさもなくば二人を殺すと言うものだった。
私は迷う事なく棄権したそしてドイツ軍に協力を頼んだ。ドイツ軍にソラのケータイの電波で位置を探して貰った。