KO−RI
□金色スケッチDAYS
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しゃがみこんだまま振り返った先には、顔を真っ赤に染めたガタイのいい男の姿があった。
「どうしたのよシンゴ。血相変えて」
わたしの後方を見据えてアキちゃんが呟くと、
「俺のジョルジュが大変なんだ」
そう言って、大男はじろりとわたしを見下ろした。
その目は薄いブルーで、短くて堅そうな頭髪は上面が赤、側面が黄の二色染めだ。
青、赤、黄――
そう、それはまるで信号機。
「お前の仕業だろ、志摩」
信号機が青い目をすっと細める。もちろんカラコンだ。
「俺の大事なジョルジュにあんなひどい仕打ちをする奴はお前しかいない」
挌闘家さながらに関節をボキボキ鳴らし、わたしの腕を掴もうとする信号機の手を、すんでのところで回避する。
そのまま床を這ってアキちゃんの後ろに逃げ込んだ。
「言いがかりだ! ジョルジュにひどいことなんかしてない!」
叫ぶわたしを擁護するようにアキちゃんも口を開く。
「そうよシンゴ、決めつけるのはよくないわ」
「なんだよアキ、志摩をかばう気か?」
「いや、だって事情が分からないから。ジョルジュがどうしたのよ」
眉をひそめるアキちゃんに信号機が顔を歪めて後方を指差す。
「あれを見ろ!」