輪廻の中から抜け出して
□38 勝手
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昨日1日中泣いていたため、家に帰ってすぐに眠ってしまったようだった。
辺りを見回すともう明るかった。
昨日は色々と我儘をいってマダラを困らせてしまったな。
私はため息をつき、軽く身支度をし家をでた。
足は自然とあの場所へ向かっていた。
そこへ着くとマダラがいた。あれからずっといたのだろうか。
『マダラ』
私が声をかけるとマダラは此方を振り向いた。
目は腫れており昨日一晩中ないたようだった。
「ライラ。」
マダラの手には紙が握られていた。
『それ…』
私はマダラの前までいきその紙がなんなのかをきいた。
「千手からの休戦協定状だ。」
『っ!』
私は驚きのあまり目を見開いた。まさかここまできて休戦協定状を出してくるとは思わなかったからだ。もし、もしこの休戦協定をうちはが受け入れたら、本当に平和な世界が出来るかもしれない。
マダラは私を抱き締めた。マダラに抱き締められるのはいつものことだが、今回ばかりは少し違った。マダラの体は震えていた。
「俺は…。千手を許すことは出来ない。」
マダラははっきりとした口調でそういった。やはりこの休戦協定は受け入れないつもりだ。それならばこのまま…
「俺は今から千手のところに行く。」
『なら私もっ!!』
「ダメだ。ライラはここで待っていろ。」
マダラの抱き締める力が強まった。
『どうして?私もマダラと一緒に』
「死ぬのか?」
今度は私の肩が揺れた。マダラにも伝わったらしくマダラは優しく私の背を撫でてくれた。
「悔しいが最早うちはに勝ち目はない。」
『だったら』
「俺はライラに幸せになって貰いたい。俺が死んだあときっとうちはは千手と協定を結ぶ。そうすれば争いは終わるだろう。ライラにはその時代を生きて欲しい」
マダラは両手を私の頬に添えた
私の目からは涙がこぼれた。それは昨日のように際限なく流れ続けた。
「ライラ、愛してる」
『そんなの勝手すぎるよ…』
私は握りしめた手に力を込めた。
マダラの瞳は黒から赤に変わっていった。それと同時に私の意識もどんどう遠退いていった。
「ライラ、どうか幸せに」
私はその言葉を最後に意識が切れた。