輪廻の中から抜け出して
□36 予感
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今日で長かった大会も終わりである。そのためか今までにないほど人で賑わっていた。最後に残った二人は互いに一歩も譲ることはなかった。だが激闘の末に二人の勝敗がついた。
《勝者はアワラ殿!!》
審判の人がそう言うと回りの観客が一斉に声をあげた。すると私の隣に何やら冠を持った人がやって来て私の前で膝をついた。
「ライラ様、これが優勝者へ授けられる物です」
『あっ、ありがとう。これを渡せばいいのね』
「はい。渡すというよりも被せるですかね。まもなく優勝者が此方へと参られますのでそのときに何か一言申されてからこれを被せて下さい。」
『一言!?』
「はい。では」
それだけいうとその人は何処かに行ってしまった。
『えぇ!サッサン。どうしよう!?』
「そんなのてきとうに言っておけ」
『そっそんなぁ。』
そうこうしている間に優勝者が階段を上がってもうすぐそこまで来ていた。
こうなったらやるしかない。やるんだ私。出来るぞ私。
優勝者は私の前にきて膝をついた。
ここの場所は皆から見えるような作りになっていて皆がこちらを見ていた。
『えっ、えぇ。先ほどまで戦い、とても見事でした。貴方の優秀な成績を称えて此を授けましょう』
私は泉からでてくる精霊が言いそうな言葉を言い優勝者に冠を被せた
すると辺りから拍手が送られ、ようやく大会は幕をおろした。
「おいライラ、あれ」
隣にいたサンが空を見てそう言った。同じように私も空を見上げた。
『あれは!』
空には1羽の鷹が飛んでいた。
私が手を伸ばすとその鷹は此方へと降りてきて私の手にとまった。
「うちはからのか?」
何事かと駆けつけてきた大名がそう聞いた
私はこくりと頷き文の中を確認した
『!!』
「早く行ってやれ」
『ありがとうございます。』
「礼を言うのはこちらの方だ。」
『サン、』
「おう」
私はもう一度会釈をしてサンに乗った
そしてうちはへと急いだ