輪廻の中から抜け出して

□35 平和な世界
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大名の城を訪れてから三週間が過ぎた。私の嫌な予感は相変わらず消えることはなかった。
私は今日も大名御用達の十二単を着て椅子に座りその大会を傍観していた。内用は至ってシンプルなもので何秒間、暴れ牛に乗っていられるかというものだった。私は正直その手のものは好きではなかった。
私は念のために常にサンを口寄せしていたため、サンと時折会話をしていた。

「哀れだな。」

『とても可哀想』

あの牛のことを考えるとなんともやるせない気持ちになってしまう。それに、うちはのことも気になる。ここは忍の争いから隔離されたような場所であるため、現在どのような状態になっているのかがわからなかった。だが風の噂でうちはと千手がぶつかっているそうだ。私は直ぐにでもうちはに帰りたかったがそれは許されることではなかった。

そして再び視線を戻すと出場者が牛に降り下ろされていた。タイムは7秒。まぁ平均と言ったところか。

「ふむ、なかなか面白みがのいの。そう思わないか、ライラ殿」


『えっ、えぇ。そうですね。』

「なにか刺激がほしいのぉ」

「なら俺がその頭噛み砕いてやろうか」


私の耳元でそう言ったサンの言葉を無視して私は再び視線を戻し、人々の顔を見た。皆笑っていた。この人たちは貴族でありほんの一部の恵まれた人達だ。だがこの世のなかにも争いがなく平和な世界もあると思えば少しだけ希望がもてた

『大名様は、ここでの平和な世界をどう思われているのですか?』

「ん?なんじゃいきなり。」

大名は突然話を振られすこし驚いていた。

「こんなやつに聞くだけ無駄じゃないか?」

『サン、口が過ぎるよ』

「ん?どうかしたか?」

『いえなにも。それで』

「あぁ、そうじゃったの。ここでの暮らしは良いぞ。戦いに巻き込まれることもなく子供も安全に勉学に励むことが出来る」

『忍の世界にも…そのよいなことが可能だと思いますか?』

私は真剣な眼差しで大名をみた

「忍とて私達と同じ人間だ。腹を割って話せれば自ずと平和な世界がついてくるとワシは思っておる」

『腹を割って話す、ですか…』

「うむ。おっ、今のやつ中々やりおるの!」

大名はそれだけ言うとまた視線を戻してしまった

「ただの金持ちって訳じゃ、無さそうだな」

『うん』

そして私も同じように視線を戻した。すると先ほどまで嫌気が指していたはずのこの大会も少しは良く私の目にうつった

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