輪廻の中から抜け出して

□22 戦
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草木も眠る丑三つ時


夏だというのに気温は低く少し肌寒いぐらいだ


空に出た満月はいかに自分がちっぽけな存在なのか思い知らされる







「準備はできたか??」



静かな夜に男の声が響く

私は振り返らず月を見続けた



「無理をしなくてもいいんだぞ」



『無理してなんかないよ。』




そう、無理なんかしてない


ただ、緊張しているだけなんだ




誰だって初めての戦は緊張するだろう



「ライラが緊張するなんて珍しいな」



『なんか失礼ね。』



彼なりの配慮なのかそれとも無意識なのか


だが不思議と緊張が和らいだ気がしてしまう



「行くぞ」


マダラは愛用の武器を背中にしょい歩きだした


私も黙って彼の後ろについていった













集落から少し離れた湖、そこが落合場所

私たちがついた頃には他のものたちはすでに整列して待っていた


「兄さん、隊はわけおわったよ」



「すまないなイズナ」



どうやらイズナは先にきて作戦を伝えていたようだ


イズナはちらっとこちらを見るとまたマダラに顔を向けた

「兄さん・・・」


「ライラが決めたことだ」



『イズナ、心配しなくていいよ。私はそんなに弱くない』



「そうだったね。・・・でも、無理だけはしないでね」


『うん、ありがとう』



「それではもう一度作戦を確認する」




イズナにかわってマダラが前にたち説明を始めた

どうやら私とマダラとイズナは最前線でたたかうらしい


始めから頭狙いでいく
実にシンプルでマダラらしい



「今回の相手も千手だ。気を抜くな。行くぞ!」




マダラの声と共に、全員一斉に走り出した

私も遅れを取らないようにマダラの少し後ろを走る





暫く走るとピタリとマダラが止まった




「きたか・・・柱間。」




少し先にマダラと同じ赤い鎧をきた黒髪長髪の男とそのとなりに白い髪の男が最前列に立っていた






『あれが千手柱間・・・』




ドクンッ



一瞬自分の心臓がはねあがった


血が疼く



私の中のあの女の血が反応しているのか


汗が出てくる


「大丈夫か?」


マダラが心配そうに顔をのぞきこんだ



『う・・・うん。平気よ。』


「そうか、無理はするな」




マダラはそういい走り出した


それと同時に千手も動き出す



マダラは団扇で敵を凪ぎ払い柱間に鎌をふった



私もそれに続き後ろから刀で彼の体を突き刺す


だがそれは彼本体ではなかった



「っち、木遁分身か・・・」



私はマダラの隣に移動した


「そなたがうちはライラか?」



後ろから声がし振り返ると、少し離れたところ柱間がいた


なぜ自分の名前を知っているのか疑問に思ったが、自分は千手に狙われている。千手の長がそれを知らないはずがない



『だったらなんですか?』



少し挑発したようにいったが彼は、ハハッと子供のような笑いかたをした

挑発したはずなのになんだか逆にバカにされたような感じになり私は顔をしかめた



「いやいや、すまぬな。噂に聞く以上に美人ぞ」



あまりにも予想外のことを言われて呆気にとられていると隣からマダラの舌打ちが聞こえた



「ハッハッハ!マダラ、また眉間にシワがよってるぞ!」


柱間がバカにしたようにいう


それを聞いたマダラはますます眉間にシワを寄せていた



「ハッハッハ!ところでライラよ、そなたと少し話がしたいのだが・・・」



『はっ??』



きれぎみのマダラそっちのけにして柱間は話し出した


「そのために、・・・マダラよ席を外してはくれないか?」




「うるせぇー!!」

マダラはそう叫び柱間に切りかかった



マダラの怒りが沸点に達したようだ



しかし、いつも以上に感情を剥き出しにし、しかも口調までかわっていた



こんなに取り乱したマダラを見るのは初めてだった




「ならば仕方ない」



柱間の声が後ろから突然聞こえた




『しまっ!』



マダラの思わぬ一面に気を引かれ過ぎて後ろから柱間が来ていることに気づかなかった

気づいたときにはマダラが名前を呼ぶ声がしていた













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