輪廻の中から抜け出してU

□48 注意
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協定を結んでから幾らか時間がたち、里も大分大きくなってきた。これをマダラと柱間さんが造ったのかと思うと鼻の奥がつんと痛くなる。その二人はというと先ほど二人で里を見回ってくるといい出ていってしまった。私は自分の仕事を眈々とこなしていく。あぁ、平和って素晴らしい。


「ライラ。これを見てくれ」

気配もなく一瞬で私の目の前に現れたのは扉間さん。これが噂の瞬身だ。どうしてそこに扉があるのに使わないのか。扉間のくせに。

「貴様、今失礼なことを考えたか?」

扉間は私の顎を掴み自分と目線を合わさせるよう上を向かせた。余りにナチュラルだったため驚いただけだったが、よくよく考えるとこれはちょっと不味いのかもしれない。私が首を降ると大人しく離してくれた。今の場面、マダラに見られていたら私の命はないだろう。くわばらくわばら。

『それで、なんの用でしたっけ?』

「あぁ、これのことなんだが。」


なになに。アカデミーの教師、渡された紙の一番上にはそう書かれていた。アカデミーって、子どもたちが忍術を学ぶ学門所だと聞いた。学門所ということは勿論教える教師も必要だろう。そして、なになに。次に教師候補と書いてある。うちはライラ。私の名前だ。同姓同名の人いたっけな。いないな。

『……えっ?』

「お前の名が多数上がった。それに子どもたちの人気も高い。」

『ちょっとまって、扉間さん。私は引き受けても構わないのだけれど……。マダラに聞いてみないと』

「何故マダラの許可がいる?必要ないだろう。お前の意思だけで十分だ。」

『そういうわけには…。夫の許可はとるべきです。』

「まぁ、そういうのなら。好きにしろ。それより兄者はここにはおらんのだな」

『えぇ。さっきマダラと里の見回りに』


「ったく。どうせ散歩がてら話しているだけだろう。」

扉間は溜め息をつき部屋を出ようとした。ここで肝心なのは扉から出ようとしたことだ。扉使えたんだね。

「ライラ、お前そんなキャラだったのか」

『ふふっ。私も思いました。それより、マダラ達のところへいくんですか?それなら私も。』

「兄者に用があるんだ。行くか。」

『どうせいつも通り二人ペアでしょう。私が妬くかも。』


「なら……」

腕を捕まれたかと思うとそのまま壁に叩きつけられた。逃げようと体を動かすと扉間が両手で塞ぎ逃げられなかった。いわゆる壁ドンだ。

「俺が慰めてやろうか?」

迫る顔に不覚にもドキッとしたのは一生の秘密。誰にも言わない。てか言えない。さっきのことといい、マダラに見られていたらと思うと寒気が走る。

『冗談はやめて下さい。行きましょう』

私が扉間の胸を押すとすぐに退いてくれた。私が歩くと扉間は黙って隣を歩いた。さっきのは何だったんだって言ってやりたい。


『何処にいるか検討はついてるんですか?』

「俺を誰だと思っている」

『感知は得意でしたね。』





扉間の言った通り、この里の前に聳え立つ大きな崖を登る。この崖の梺に里がある。そういえばここは昔柱間さんが話をしてくれた場所だったな。



「おい、兄者。こんなところで何油を売っている」

そこへいくと案の定マダラと柱間がいた。マダラはこちらに振り向き私と目があったかと思うとすぐに隣にいる扉間を見て、怪訝な顔をした。
今に始まったことではないがマダラと扉間は仲が悪い。お互い本心では決して話すことはない。それでもお互い刃を抜かないだけ、今が平和であることがよくわかる。


「扉間とライラか」

マダラは扉間を睨み付ける。その殺気といったら半端ない。本人は無自覚なのだろうが、子どもが泣くのも無理はない。

『こら、マダラったら。すぐに睨まないの。』

ライラはマダラの口元に人差し指をあてた。

「別に睨んでなど」

『じゃあ見ちゃダメ』

「はぁ……」

「御主らは相変わらず仲がいいの。」

「そりゃぁ何年もいるからな…。それより、ライラ。猿飛一族も仲間に入るらしい」

『猿飛って……。ロキの!?』


「なんだ?猿飛一族と交流あったか?」

「猿飛一族はうちはと同盟など結んでおらんはずだが…」


『昔戦地で子どもを拾ったことがあって。その子が猿飛一族の子だったんです』

「なるほど、そういうことか」

「逃がしたのか?甘いことをするな」

「我らうちはにとってはそんなことはどうでもいいことだ。それにライラが悲しむ顔を見たくない」

『きゃっ、マダラったら』

マダラの腕にくっつく。マダラは満足そうな顔をしたのがみえた。
柱間と扉間はやってられないと言ってその場を立ち去った。


「それより、ライラ。どうして扉間と一緒だったんだ?」

『あぁ。私が仕事をしてたら扉間さんが来てね。私にアカデミーの教師をやってくれって。一応マダラの許可を得ようと思ってたら扉間さんが柱間さんのところに行くって言ったから。着いていったの。』

「なるほどな。アカデミーの教師か。いいんじゃないか?お前みたいに医療忍術を使える忍は少ないし、それになにより医療忍者の育成は里の未来をも左右するからな」

『ふふっ、随分大袈裟ね。』

「間違ってないだろう。それより……」

マダラは言葉をつまらせた。何事かと思い見上げると少し切ない顔をしたマダラと目があった。どうしたのだろうか

『どうしたの?』

「扉間と二人になるな」

私は驚きのあまり目を見開いた。

「あいつは危険だ。」

これはもしかして。もしかしなくても、妬きもち。YAKIMOCHI。

『痛い、痛い。お願いだからつねらないで。』

「お前は相変わらず白くていい肌だな。さぞ赤い後が綺麗につくだろう 」

『ごめんなさい。ごめんなさいってば!』

やっとのことで私のほほからマダラの手が離れた。私は頬を擦りながらじと目でマダラを睨む。マダラといい扉間といい、こいつらは読心術が使えるのだろうか。

「まぁ、取り敢えず扉間にはなるべく近寄るな。」

『随分と警戒してるね…。何かあった?』

「いや、俺の勘だ。」

『心配性ね。でもマダラの勘は本当によく当たるよ』

「なに?」

『さっき扉間に壁ドンされた』

「はっ?」

マダラは驚いた顔をした。しかしすぐに眉間に皺をよせ瞬く間に不機嫌になっていった。

『マダラと柱間さんいっつも二人でいるからなんか妬けるな、って言ったらされた』


「こんな風にか?」

マダラに足をからめられそのまま背中から倒れる。マダラは私の顔の横に手をついて馬乗りになっていた。これはいわゆる床ドンだ。壁じゃなくて。

『ちょっと、マダラ。ここ外だよ』

「お前は警戒心が無さすぎる。」

『そんなこと』

「ある。俺意外の男に触らせるな。」

『なにそれ、惚れる』

「俺は愛してる」

『ふふっ。私も』

「お前は本当に俺をその気にさせるのが上手いな」

そういいマダラは私の肩を撫でた。ここが外でなかったらそうなっていたかも知れないが生憎ここは外だ。野外なんてごめん被る。

『だぁめ、』

私はマダラの手を止めて起き上がる。マダラは渋々上から退いた。そして二人で仲良く家に帰った。家についてからどうなったのかはご想像におまかせする。


(とにかく、扉間注意だ。)
(はいはい)
(分かっているのか)
(勿論)
(何かあってからでは遅いんだからな)
(貴方は私のお母さん?)
(旦那だ)
(そうだね)

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