輪廻の中から抜け出してU

□46 ボーイズトーク
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「おお、早かったの。その様子だと失敗だったか?」

部屋に戻ると早速柱間がマダラに尋ねた。桃華はすでに部屋にはいなかった。

「いや」

「む?ならばその落ち込みどはなんぞ?」

「まぁ、許してもらったことは良かったんだが、約束は約束だからと。」

マダラの項垂れる姿を見て柱間は大声を上げて笑い出した。マダラはギラリと睨み付けるが柱間はもろともしない。マダラは喉まででかかった反論の言葉を飲み込み大人しく仕事に戻ることにした。

「まぁ…。3日だったか?お前が我慢すればよいだけだろ」

「だから、俺はそうするつもりだ。」

「くくくっ、御主にできるのかのぉう?」

柱間のにやりとしたなんとも勘にさわる顔をみてマダラは額に青筋を浮かべた。それすら気づかず未だ笑っている柱間に流石のマダラも、堪忍袋の尾がきれた。

「貴様、殺されたいのか?」

「!しゃっ、写輪眼は卑怯ぞ!!」

何が卑怯なのか分からなかったがマダラはこんなやつに頼った自分が悪かったのだと反省した。まぁ、あの桃華ってやつには感謝するが……。

「で、どうするつもりぞ?」

「はぁ、お前も中々しつこいやつだな」

「今更気づいたのか?」

「……」

こいつのうざさは幼い頃から体験済みである。マダラは柱間がしつこいことなんて知っていた。しかしここまで開き直られると呆れて言葉もでなかった。とりあえず写輪眼をしまいマダラは筆をおいた。仕事などは勿論はかどるわけなく、予定より大分遅れてしまっている。普通に考えてこんなこと話している時間などないのだが、流石は頭領。二人ともいい部下を持っているのだ。


「で?」

「まぁ、お前の言う通り3日だなんて無理だ。仮にもし出来たとしても、その時は俺の何かが終わっていると思う。」

「何かってなんぞ?」

「何かだ」

「そうか、ナニか。」

「柱間、歯食いしばれ。」

「じょっ、冗談冗談。はっはっは」

一瞬マダラの殺気とも似た、というより最早殺気、を放ち、拳を握る姿に流石の柱間も焦り、挙げ句笑って誤魔化そうとしていた。

「お前の頭がどういう造りなのか心配になる」

「覗いて見るか?」

マダラはなんとか思い留まり、立ち上がろうと浮かせた腰を元にもどした。覗いてみる……写輪眼を持っているマダラにとって人の頭の中をみることは容易いことなのだが、ろくでもないことは簡単に想像できる。するだけチャクラの無駄だ。

「お前の頭の中なんてたかが知れている。どうせ植物園みたいな感じだろ」

「植物園とはなにぞ。植物園とは」

「いや、だってお前、木遁使うし、盆栽好きだしな。きっと地球に優しい構造だろうよ。」

「そういうお主はライラ一色ぞ」

「ふんっ、……違いねぇ」

そういったマダラの顔からは少して笑みが溢れていた。それを柱間は見逃すことはなく、昔のように戻れたということを実感した。あれから何年もたちお互い子をつくれる年になった。その年まで生き延びこうして敵対していた一族のものと冗談を交えるこてなんて、誰も思ってもいなかっただろう。


「そういうお前はどうなんだ?」

突然自分の話になり柱間はびっくりして持っていたお茶を落としそうになった。柱間のようにニヤニヤとしているわけではないがどこか人をばかにしているような顔はやはりむかついた。

「どうって……なにがぞ?」

「あー、うずまき一族だったか?礼の女のことだ」

「どうもこうもいたって普通ぞ」

「どこまでいった?」

「っ、……なにがぞ?」

「利口ぶるな。お前、人には容赦なく話を降ってくるくせに、自分はあれなのか」

「いや……その、まだ正式に…式も上げてないのでな…」

「ほぅ……家はどうなっている?」

「昨日から千手の家に入ってもらった。」

「つまり同じ部屋だと?」

「……」

「お前も人のこと言えないだろ 」

「マダラよ」

柱間は親指と人差し指で何かを持ちそれを口元に運ぶしぐさをした。一杯どうかと。

「だがな、……ライラと約束したしな」

「酒でも呑んでなきゃ、ほら。何かが終わるぞ」

マダラはしばらく考えると何かを自分に言い聞かせて、少しだけだからなと言った。結局その日の仕事は優秀な部下に任せ、哀れな男二人は何時もよりは少ないが、まぁそこそこの量の酒を飲み二人して愚痴を言い合ったそうだ。それを見て周りの人はよほど仕事熱心で疲れているのだろうと羨望の眼差しを向け、二人の好感度が何故か上がってしまったのはまた別の話である。

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