輪廻の中から抜け出してU

□42 新しい
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「此れからよらしく頼むぞ。」

「あぁ。此方こそ」



多くの歓声のなか俺と柱間は手をとり握手をした。
うちはへ帰ってから早3日。俺たちは正式に休戦協定を結んだ。今日はその協定を結ぶためうちはと千手、全ての人がひとつの場に集まった正に平和への第一歩なのだ。
忍界で最強を誇ったうちはと千手の協定はおそらくすぐに噂になり、他の忍たちも同じような事をするだろう。そうすれば世界は平和になる。
そんな記念すべき日だからこそこの場で宴が催されることになった。だが実際は、昨日まで敵であり復讐の対象でもあった人をそう易々と受け入れるのは難しい。だからこの宴を第一歩に心のわだかまりを、少しずつ解いていこうという魂胆なのだ。
近くにある火の国きっての宴会場を特別に借り、そこへはいった。

俺と柱間が酒を手に上へあげるとそれを気に皆一斉に飲み出した。
俺と柱間の箱膳は向かい合わせになっており、ちょうど話すには丁度よいぐらいの距離だった。誰かが気をきかせてそうしたのだろうか。

『御酌します』

するとライラが酒を手にしてこちらへやって来た。何時もとは違い着物を着ており、俺から見て左側柱間から見て右側の位置の真ん中辺りに正座をした。
俺は杯に残っていた酒を一気に飲み干しそれをライラの前に出した。

「頼む」

ライラは両手で瓶を支え注いでいった。よく見ると普段あまりすることがないであろう化粧が施されており、酒を注ぐ姿は妖艶であった。

俺のが注ぎ終わると今度は柱間の方へ体を向けた。

「折角だから俺もいただくとするぞ」

柱間も入っていたのを一気に飲み干しライラの方へ杯を向けた。

「ライラは普段では、そのような格好なのか?」

『いいえ。今日は正式な場所だから身なりを整えていけと上に言われてしまって』

なるほど、だから今日の朝早くに上のやつらがライラを訪ねて来たのか。
俺は長としと先に行かなくてはならず、家を出てからライラにあったのは今が初めてだったため、その時の事情は知らなかった。

「なんぞ、何時もそのような格好をすればよかろう。」

酒を注ぎ終わりライラは酒を自分の隣においた。

『こんな格好、毎日なんて出来ませんよ。』

「よく似合っているのにもったいないのぉ。なぁマダラ。」

「あっ、あぁ」

俺は急に話を振られ思わず柱間の言葉に頷いてしまった。確かに今の姿はとても美しく綺麗だが、普段の自然な格好も気にっている。

『そう?マダラがいうなら今度からは時間があればやろうかな』


ライラは照れくさそうにそう言った。その姿がなんとも可愛らしく、俺の心は高ぶらせるには十分すぎた。

「ライラ、お前も飲め」

『いや……私は』

俺はライラの隣におかれた酒をとり近くの器を持たせた。

「たまには付き合え」

『そんなにいうなら…』

「普段は飲まないのか?」

『全く』

俺は酒を注ぎこんだ。今思えばライラと酒を飲んだのはいつぶりだろうか。

『いただきます』

それからは他愛のない会話をしこれからの里の方針について話した。まずは里づくりの拠点だ。その場所柱間の提案により昔柱間と夢を語ったあの崖の元ということになった。そうと決まれば早いところ引っ越しをしなくては。

『新しい家は今みたいに大きくなくてもいいね』

「なにを言う。誇り高きうちはの頭領が質素な家になどすめるか」

「はっはっはっ。まぁまぁ、広いことに越したことはなかろう。」

『そう?今の家でも相当無駄遣いしてる気が…』

「何も人数が増えないなんてことはないぞ?」

柱間の言葉にライラは顔を真っ赤にした。そして口をパクパクとさせ慌てた様子だった。

「おい……あまりからかってやるな」

「はっはっはっ、すまんのぉ。だが二人の子供ならさぞかし美形だろうぞ」

『子供だなんて…。まだまだ先のことです』

「だがもし女の子だったらマダラににて厳つい顔だったらこまるのぉ」

「なんだと?まぁ
ライラに似てくれ方が良いことは確かだが…。大体お前は結婚しないのか?」


「いやぁ、それがのぉ」

柱間の顔の筋肉が急に緩んだ。どうしたことかと問えば、どうやらいい感じの女が出来たらしい。お見合いで出会ったうずまき一族の女だそうだ。

「それで、そのミトというおなごがのぉ、」

『ふふっ、柱間さんはそのミトさんのことを好いているのですね』

「そうなのだ。今度思いきって結婚を申し込もうと思うのだが…」

「申し込むっていったって、見合いだろ?結婚前提だろうに」

「だからと言ってなにも無いのもなんだろう」

『そうよ、女からしたら、そういうところはとても大切だよ』

「うむ。そこでお主ら夫婦にアドバイスをもらいたいのだが……マダラはどうやってライラのハートを射止めたのだ?」

柱間の問いにうつむいた。なんでこんなやつにそんなことを話さなくてはいけないのだ。恥ずかしくて死ねる。

『突然、告白されたのです』

「ほぅ、突然か」

「こらっ、ライラ」

『別に減るものじゃないし…。あっ、あとこの指輪を貰いました。』

ライラはそういい金の指輪をみせた。

「金の指輪か。相当高かっただろうぞ」

「惚れた女に安いものをつけさせられるか」

『ふふっ、とても綺麗でしょう。それより、マダラの指輪はどうしたの?』

ライラは少し悲しげな顔でそういった。それに関してはとくに深い意味はなく、単純に汚したくなかったからだった。

「あぁ、戦の時につけていると傷がつくからな。最初は戦の時だけ外していたが、その内毎日が戦になったからな」

「ならもうその心配はないぞ。これからはそんな戦いは起こらない」

『そんな理由だったんだね。柱間さんの言う通りこれからはちゃんとお揃いにしたいな』

「あぁ、そうだな。」

「ところで話がずれたのだが…」

気がつけば指輪の話になっていたが結婚までを話していたんだったか。ぶっちゃけ俺達は小さい頃から同じ家に住んでいたので結構例外であると思う。

『なにはともあれ根性です、柱間さん。』

「気持ちがあれば必ず届く。俺のようにな」

「マダラが届いたのなら俺なら余裕ぞ!」

「水切りじゃねぇよ。まぁ、お前ならやれるさ」

『ふふっ、案外柱間さんの方が先に子供を授かるかも』

「なっ、何をいう!まだ結婚も決まってないぞ…」

柱間は残っていた酒を一気に飲み干した。ライラは杯に再び酒を注いだ。

『柱間さんなら大丈夫です。緊張せず、自然でいれば』

「くくっ、あの柱間が女に求婚とは。感慨深いな。」

「なんぞ、嫌なやつだな。」

「いや、別にバカにしている訳ではない。只、お前からそんな話が聞ける日が来るなんて微塵も思ってなかったからな」

「まぁ、それは俺も同じぞ。」

「愛想つかされないように気をつけろよ。」

俺がそう言えば柱間は肩を落とした。この癖はいつなおるんだか。まぁ、なにはともあれ子供をつくるのはまだ先でいいと思っている。もう少し二人の時間を過ごしたい。

俺は柱間の恋が叶うか願掛けをしにライラと水切りにでもいこうとおもった。

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