輪廻の中から抜け出してU
□41 もっと多くの
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1日続いた戦いの末、うちはと千手は同盟を組むことになった。
その事をうちはの皆に知らせるため、その場にいた千手の忍を含め、何人かでうちはに向かい残りの千手のものは千手へ知せにいった。うちはへは扉間と柱間も向かっていた。
「やっとぞ…」
「あぁ、」
俺は柱間の言葉に頷いた。
やっと。その言葉に少し罪悪感があった。ここまで事態を引き伸ばしてしまったのは自分のせいといっても過言ではない。休戦を申し出た千手の文も、仲間の言葉も聞き入れず、むやみに戦い続けた。俺が最初から柱間を信じていれさえすれば……。
「俺は……」
「マダラ、下を向いている暇などない。これからだぞ。」
柱間は俺が考えていることがわかったのかガッツポーズをしニカリと笑った。
「フッ。」
俺は相変わらずな"友"を目の前に少し口元が緩んだ。
しかし、戦いの傷が癒えていなく歩いて向かっているため思った以上に時間がかかる。まだ半分も来ていないのに体力は底をつきそうだった。
隣をみるとライラの肩は大きく上下しており大分疲れた様子だった。無理もない、俺はライラが動けないように幻術をかけた。まさかここまで動けるとは正直予想外だった。
俺は少し休むかと聞いたがライラの足は止まらない。
柱間もライラをみて気を使い、休もうといったが、それでもライラは大丈夫といって足を止めなかった。
「ライラ、別に無理をしなくても」
『うちはの皆が早く平和な世界になるのを待ってる…早く伝えてあげなくちゃ…』
でも、と俺が言葉を挟むと繋がれていた手が離されライラは俺の方を向いて手を大きく開いた。どうしたかと俺が聞くとライラがじっと見つめてきた。
『ぎゅってして、そうしたら頑張れる気がする』
「…。」
可愛い。本当に可愛い。俺は今すぐにでも抱きしめたかったが後ろから物凄い視線が刺さっている。みるな。お願いだから…
「羨ましいのう、羨ましいのう」
柱間が茶化すようにそう言った。
ライラは駄目?といって首を傾げていた。よくみると少し涙目に…。あぁ、可愛いすぎる
「じゃあ代わりに俺が…」
動こうとしない俺の横を柱間が通り抜けようとした。
「お前は触るなっ 」
俺は柱間の足を引っ掻け、ライラを抱きしめた。柱間は大きく転けていた。はっは、ざまぁみろ
「なんでぞ!?俺はただ、ライラにぎゅってしてもらいたかっただけなのに!」
「兄者、してもらいたいじゃ駄目だろ。」
「柱間様…」
周りにいた千手のものたちも若干引いたようだった。
こいつに負けたのかと思うと頭が痛い。
「もう元気になったか?」
『あとちょっと…』
俺は抱きしめる力を強くした。少しするとライラはガバッと離れた。
出来るとこならもう少し抱き締めていたいと思ったが、渋々ライラを離した。あぁ、可愛い
『うん、もう大丈夫!』
「そうか」
そういい俺達は再びうちはへと足を進めた。
柱間は相変わらず転んだままだった。
「兄者、置いていくぞ。」
「………。」
「もう俺は知らん」
扉間は柱間を見捨てた。しばらくするといそいそと柱間は戻ってきて俺の隣を歩いた。またしても昔と変わらない友の姿に俺は再び口元を緩めた。
「お前、そういうところ昔と変わらないな」
「んっ?どういうところぞ」
「そういうところだよ」
俺がそう言うと柱間とライラも不思議そうな顔をした。周りを和ませる独特の空気を柱間は持っていた。そんな空気と温厚でかつ頑固な性格。それがうちはと千手の同盟を成し遂げたのだ。
やはり、俺には持っていないものを柱間は持っているのだと思うと少し悔しいきもするが、素直に凄いと思う。
それから幾分か歩き、ついにうちはの集落が見えた。
「マダラ様、ライラ様!!」
「ヒカクか……」
『ヒカクっ!!』
一番最初にこちらに気づいたのはヒカクだった。俺達を見つけるとすぐ此方に走ってきた。
「この人たちは……千手!!」
ヒカクは柱間達をみるなり距離をとってクナイを構えた。
『ヒカクもういいの…』
「武器をおろせ。千手とは同盟関係だ」
俺がそう言うとヒカクははっとした様子ですぐに武器を捨てた。そして柱間達のほうに向かって頭をさげた。
「とんだ御無礼を…。申し訳ありません。」
「いやいや、そんなの大したことではないぞ」
「ヒカク、皆にこれを伝えて集めてくれ。」
「あっ、はい…」
ヒカクはその場から去った。去り際にとても物言いたげな顔をしていた。それもそうだ、側近であるヒカクになにも言わずにここまではなしを進めてしまったのだから。
「ライラ、俺のところへ行くとき誰かに言って行ったか?」
『……。』
ライラは俺から顔を背けた。あぁ、これは1日コースの説教だ。
なにも言わずに二人してうちはを出るだなんて、下手したら説教だけですまない可能性が……
俺ははぁ、とため息をついた。
すると遠くの方から誰かが走ってくるのが見えた。
「あれは……」
『ひすい、かんな!』
「ライラ様ー!!!!」
「御無事でずがー!」
ひすいとかんなは俺からひょいとライラをとると二人でライラに抱きついていた
「どうじて何にもいってくれなかったのでず……」
「心配で心配で、もう」
『二人とも心配してくれてありがとう。』
「心配しないわけないじゃないですか!もし……ライラ様に、なにかあったら…私…」
「ライラ様、このお腹の傷!」
「傷!!!何処です!」
傷を見つけるや否や、二人はお構いなしにライラの服を捲ってきた。
『ちょっ、』
ライラが抵抗するよりも早く二人はライラの服を捲りあげライラの白く細い腹が露になった。
「ライラ様のお腹に傷が!」
「これ消えますよね、消えますよね!?」
『うん…多分ね。それより…』
「うわぁぁん。ライラ様の美しい体に傷が」
ライラは抵抗していたが何よりも一対二。最早二人に遊ばれているようにみえもした。
「おい、そろそろ離してやれ」
俺がそう言うと二人はハッとした様子で大人しくライラを離した。こいつらはライラのこととなると周りが見えなくなる癖がある。
「それに収集をかけたのだが…」
俺がそういうと二人で顔を見合せ此方に頭を下げ慌てて走っていってしまった。
まったくなんだったんだ。
「ライラ大丈夫か?」
『うん…』
ライラは服を元に戻し頬を少し赤く染めた。
『みてないよね…?』
サッと千手の者皆が揃って顔を背けた。扉間にいたっては少し顔が赤くなっていた。くそ、見てたなこのやろう。
『もういい。忘れて』
ライラはそのままスタスタ歩いていってしまった。はぁ、可愛い。
そんな姿でさえ愛おしく思ってしまう俺は早くも浮かれているのだろうか。
「ハッハッハ。愉快じゃの!」
「そうだな。」
「これからはもっと愉快にしようぞ」
俺は柱間の言葉に頷き、そのままライラをおった。
そうこれからもっと多くの幸せが待っているのだ。