女狐
□九章
1ページ/1ページ
家に帰ってからマダラは一通りのことをヒカクやその他もろもろの人物に話した。ヒカクは信じられないと言う顔をしたが写輪眼を見てうちはであることは納得したらしい。最初はマダラの家に住まわせることを皆口々に反対したがマダラは頑なに譲らなかった。余りの頑固さに回りのものはその内、もしかしたらこの女ならマダラの子供を、などと考えすんなりと了承を得ることができた。その間ライラは物珍しげにキョロキョロと回りを見回しては首をかしげていた。森の中で育ったライラにとっては何れも珍しい物に見えた。
「話は済んだ。ライラ行くぞ」
「これからよろしくお願いします。」
ライラはぺこりと頭を下げた。マダラはライラの手をつかみそのまま部屋を後にした。
「まさかあの子が生きているなんて」
「全くだ…。どうだ。どうせなら南賀神社の巫女をやってもらえば…」
男の提案に一同は、そうだそれだ、と納得した。
ーーーーーーーーーーーーー
「ライラ、先に風呂に入れ」
食事を終え、時刻は九時過ぎ。マダラは体をふくタオルと寝間着の浴衣を渡した。
「もうそんな時間、、、先に入らないの?」
「いや、俺は後でいい。」
ライラはそうかと返事をして、マダラに風呂場へ案内してもらった。
「ここだ。何か分からないことがあったら近くの女中に言え」
「マダラじゃ駄目なのか?」
「いや、別に俺でもいいが、」
「そう、なら分からなかったらマダラを呼ぶ。」
ライラはそれだけ言い残して風呂場へ入っていった。マダラは分からないことといっても特にないだろうと思い自分の部屋に戻ろうとした。その途端、ライラが入っていった風呂場の扉が開きそこから伸びた腕に捕まり中へ引きずり込まれた。
「なっ、なんだ?」
「マダラ、ごめん。さっぱり分からない」
マダラは唖然とした。ライラは布ひとつ身に纏っていない状態だったからだ。マダラは空かさず目線を外した。
「お前っ、裸でうろつくんじゃない」
「人間は風呂の時は服を着たままなのか?」
「いや、違うが……。いいからタオルだけでも」
「どうせ脱ぐだろう。なぜ?」
「もういい……。で、何が分からないんだ?」
「兎に角全部。これが体を浸かるところで合ってる?」
マダラはそうだと頷く。そして、あれこれ指をさしてあれはなんだ、とかこれはどう使うなど細かく聞いた。その内ライラは眉間に皺を寄せ始めた。勿論マダラは目線を外にしているため気付いてはない。
「非常に困難だ。マダラ、頼むから一緒に入ってくれ。」
「なっ、何を言っている!そんなこと出来るわけ」
「駄目か……?」
暫く討論した末、マダラが折れ、結果渋々ライラと風呂に入ることにした。
「はぁ、精神的に疲れた…」
「マダラ、人間が作った風呂もなかなか気持ちいいな」
今ライラとマダラは湯船に浸かっている。ここはうちはの頭領宅。そこそこの大きさがある。そのため大人二人が入っていても体をくっつける必要はなくマダラにとっては幸運だった。風呂でかくてよかった。
「ねぇねぇ、マダラ」
幸か不幸か、ライラはマダラに近づいた。マダラはビクッと体を震わせ振り返らずになんだ、と返事をした。
「いつも宇迦と入るとき、宇迦は私を膝の上に乗せてくれたんだ。」
マダラは冷や汗を流す。出来れば耳も塞ぎたくなった。この年齢でそんな事あるか?その宇迦ってやつはどんだけ過保護にコイツを育てたんだ??
「なんか誰かの膝に乗ってないと不安になるっていうか落ち着かないっていうか……。」
ライラはしゅんと縮こまった。これ以上はとも思いつつ、そんな不安そうにされると乗るか、と言わざる終えなかった。
「いいの!?」
マダラが振り替えると同時にライラはマダラの膝に座る。水の中のため重さはほとんど感じない。ただお互いの肌の感触がする程度だ。マダラはせめて体が見えないのが救いだと思い固く目を瞑った。
「宇迦はね、よくこうやって腕を前に回して色んな話をしてくれたんだ」
ライラはマダラの腕をつかみそのまま前に回した。
「(あたってるあたってるあたってる
)」
腕に感じる弾力にマダラは焦る。見事に張りのある豊かな物であった。女嫌いのマダラも流石にお手上げだった。マダラだって男だ。若い女に裸でべたべたと触られたらなにも思わないわけではない。ただ特定した人物をつくらないだけ。女は面倒くさい生き物だと思っている。
「そういえば、マダラの体は宇迦とは大分違うんだな」
マダラが未だ葛藤しているなかライラは呑気に言った。
「腕も宇迦よりがっしりしてるし、何だろう。全体的に硬い。」
ライラはマダラの腕を触りながら言う。
「そうなのか?俺はその宇迦ってやつを知らないからな」
「うん。それに宇迦には胸があったがマダラにはないんだな。」
「俺は男だからな…。宇迦は女なのか?」
「うん、宇迦は女神だよ。」
「そうか。そういえば稲荷神は女神だったな」
「男と女だとそんなに違うもの?」
「違うもなにも……。体のつくりが根本的に違うだろう。」
「そうか?私には同じように見える。皆目が二つで鼻と口が一つだ。」
マダラは苦笑いをした。だが、よく考えればライラは宇迦と二人で暮らしていたため男と言うものを知らないのかもしれない。そもそもなんで男と女という区別があるのかも知らないのかもしれない。
「ライラ、どうして男と女がいるのかわかるか?」
「勿論、子孫を残すためだろう?」
「あっ、あぁ、そうだが……」
マダラはほっとした。大丈夫、基本は押さえていた。ここで更に何でなんで攻めをされては自分までわからなくなりそうだ。
「でも、やり方は分からない。宇迦はいつか教えるって言ったっきりいなくなっちゃうし、、、マダラは知っているか?」
ライラは顔だけマダラの方に向けた。ライラは膝に乗っているため、顔と顔の距離は数センチほどであった。風呂のため上気し赤く染まった頬に膝に乗せてもまだ下から見上げる形になる上目遣い。そして何よりお互い裸で密着している。
マダラは限界だった。そのふっくらとした唇に自らの唇を重ねる。そのまま舌を入れれば驚いたのかライラの目が見開いた。片目でライラを見れば風呂のせいかはたまたこれのせいか分からないが、頬の色はさらに赤みを増していた。何秒もしない内にライラの体は酸素を求め苦しそうにマダラの舌から逃れようとした。その苦痛に歪んだ顔がマダラを更に欲情させる。
「んっ」
漏れ出したライラの声にマダラの理性はどこかへ飛んでいってしまった。女と一緒に風呂になんて入るから年甲斐なくこんなところで欲情してしまうんだとマダラは思った。
「マっ、はなっ」
ライラの言葉を聞き終わらない内にマダラの手はライラの胸を捕らえた。左手で後頭部を押さえつけ右手でたわわな胸を揉む。ライラは初めての事だったため必死にマダラから逃げ出そうとした。
マダラはそれを許さず肌触りを楽しむように体を弄った。手を離して下腹へ移動させようと後頭部から手を離したほんの一瞬ライラと目が合った。ライラの瞳はマダラと初めて会ったときと同じ色をしていた。
「ごめん」
その声を最後にマダラの意識は途切れた。