女狐
□五章
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マダラは家につき取り敢えずこの狐を自分の部屋におくことにした。誰にも見せてはいけない。別に柱間と約束したわけではないがそう思った。窓側に狐をおき、そっと中を覗く。パチリと目があったがすぐに顔を下に向け寝てしまった。マダラは案の定そこから動けなくなり一晩中その檻の隣にいた。いつの間にか寝てしまったらしく、外が明るくなりだすと部屋の戸が叩かれた。マダラは起きていると、一言だけいいまた暫く狐を眺めた。狐は眠っている。そして食事を取りに部屋をでた。
「おはようございます。」
「あぁ、」
「昨日は柱間様の元へ?」
柱間という単語に少しドキリとしたが別に深い意味はないのだろう。 食事を終えマダラは再び部屋に戻ろうとしたが生憎今日は仕事がある。ヒカクのところに行かなくてはならない。部屋には近づくなと一言だけ言い残し、重い足を引きずりながらヒカクのもとまでいった。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「本日のお仕事の内容なのですが、これからの里の方針についてうちはの上役だけで集会があります」
「そうか、」
「集会はお昼過ぎですので其までは火影室へいって昨日の書類へ目を通しておいてください。」
「あぁ、わかった。」
「私は集会の準備があり、南賀之神社にいますので何かあればそちらへ」
ヒカクはそういい一礼をして部屋をでていった。マダラも火影室へ向かった。火影室には柱間がおり、必死に書類を読んでいた。この一週間分の仕事が貯まっていたのだろう。相当の量の紙がおかれていた。
「マダラか」
「柱間、元気そうで何よりだ。」
「御主こそ、よく出てこれたな」
周りからみるとなんのことやらと思うかも知れないが、家から出てくることは二人にとって肝心なことであった。
「お前はもう大丈夫なのか?」
「いいや……。だが昨日より幾らかましだ。」
柱間は深く溜め息をついた。そして手元にあったお茶を一口飲み再び仕事に戻った。その膨大な量の書類にマダラもまた溜め息をつく。自分もまたこうなるかと。これ程量にはしたくはない。仕方ない、今日やれるとこまでやってしまおう。マダラは柱間の隣に設置されたイスに座り書類に目を通した。
窓からの日差しが紙に反射して読みづらい。あれから何れぐらいたったのかと時計を見ると、三時間ほどたっていた。今は正午少し前であった。書類も粗方終わり、まぁこんなものかと思った。そう言えば昼から集会だのなんとかいっていたな。 マダラは椅子から立ち上がった。
「どこかいくのか?」
「今日はうちはの集会があるんだ」
「そうか。何処でやるのだ?」
「南賀の神社だ」
「ほぉ……」
「じゃあ俺はもういく」
柱間は特に気にする様子もなく再度仕事に取りかかった。マダラはそのまま部屋を後にした。