神代桜の奇跡

□拾伍
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城のある広い一室に案内されるとそこには既に料理やら酒やらが並んでおり奥には大名が座っていた

「今回のそなたらの活躍、大変見事なものであったぞ」

奥の一段高くなったところに座っているあの男がこの城の大名なのだろう
マダラは大名に一番近い席につき、その向かいにイズナが座った
そしてそれに続くように皆席に着いていった
何処に座ろうかとうろうろしているとマダラが手招きをした

マダラの方まで駆け寄ると隣の席に座るよう促された
私は言われるがままその席に着くと何処からか視線を感じその方に目をむけた
すると大名と目があってしまったため取り敢えず会釈をしておいた
大名は私の顔を物珍しげに見ていた

「こりゃぁたまげた。お主くの一なのか?」

これは私に聞いているのかだろうか?くの一といっている時点できっと私のことだろう、視線もこちらに向いているし
流石に黙っているのは宜しくないのではい、と手短に返事をした

「ほほほ、そうかそうか。ならば酌をたのむ。おなごに注いでもらう酒のほうがずっと旨いからの」

大名はもっていた扇子で自分の隣を叩いた
向かいのイズナが申し訳なさそうにごめんと口を動かした
私が立ち上がると隣からは舌打ちが聞こえた気がしたがそれは聞こえなかったことにした

私は大名の目の前に行き一度お辞儀をして隣に座った
少し顔を俯けていると 大名が顔をのぞきこんだ

「そち、よく顔を見せてくれぬか?」

私は言われるままの顔を上げた
するとすぐ目の前にいる大名と目が合った
大名はじぃっと私の顔を見るとすぐに目を反らした

「……酌をたのむ」

『はい、私で良ければお酌致しますわ』

そういい私は大名に御酌をしながらその宴を過ごした
途中で大名の提案により私は一人一人に、御酌をしにまわった
私としてはこれをきに沢山のひとと交流出来るので悪い提案ではなかった
一人一人にお酒を注いでいるとそのたびに色々な人に今日の朝のことを謝られた
他にも誉め言葉や、他愛のないことまで色々と話せたが マダラに御酌をするときは物凄く視線を感じたためあえて目を合わせなかった。合わせられなかったといった方が正解かもしれない。
そのあとは大名に進められるまま酒を少し飲み、皆がほどよく酔って来た頃に宴は終了となった

「うちはのものたちよ。今回は大変感謝する。次回も期待願う」

大名のがそういうと私たちは一礼してその城をあとにした
城はうちはから、そう離れていないため自由解散となった
するとすぐにイズナがそばに寄ってきた

「ライラ、大丈夫だった?」

私はこくりと頷いた
すると後ろからマダラがこちらに歩いてくるのが見えた

「ライラ、写輪眼のことについてだが…」

マダラがそういうとイズナは驚いたように此方を向いた
まさか私が写輪眼まで開眼していると思わなかったのだろう

『私にも詳しくはよくわからない。只、戦いに集中していたらいつの間にか』

「なるほどな。」

「戦闘中に開眼するのも珍しい話じゃないからね」

「まぁ、これでライラがうちは一族だと証明されたわけだ。それにうちはの他の者から信頼も得れた。本当はもう少しかかると思ったがな」

『信頼なんて…そんなはず』

「もっと自分に自信をもちなよ?まぁ油断して怪我されちゃ困るけどね」

『でも…』

「明日にでも上の連中のところに行くぞ」

上の人たち、
私は心で小さくため息をついた
もしその人達から敵視されたら私は一体どうなってしまうのだろう?
最悪の場合、殺されてしまうのか
それだけは極力避けたいものだ

「なに、心配はいらぬ。今日は疲れただろうからゆっくり休め」

マダラは私の手を握るとそのまま歩いた。私もそれに引かれ歩き出せばイズナもまた隣に並んだ
もう桜も散る時期となり地面には散ってしまった桜の花びらが沢山ある。もうあれからそんなに経つのかと思うと、この一週間は大変長く感じられたと思う
記憶がなくなって見ず知らずのひとの家にお邪魔することになり、忍術を学び更には戦にまで出たのだから当然といえば当然だ
果たしてこれから私はどうなるのか
全く予想はできないが、できることならこれから先もこの人達の隣にいたい

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