神代桜の奇跡

□拾弐
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私の手が彼の頬に触れると彼は少し目を見開いた
私がいきなり触ったため驚いたのだろう
しかしこうもタイミングがよいと私の頭の中が読まれていないのか心配になる。
しかしまぁそんなこともないようで、彼の頬に触れた手は私が思っている以上に冷たかったらしくさらにその上から彼の手が重ねられた

「手が冷えきっている。それにまだ髪が乾いていないではないか」

マダラは重ねた手をはなし自分のタオルを私の頭にかけポンポンと水気をとっていった

『随分馴れているみたい』

「まぁな、昔はよくこうして弟達の髪を拭いていたものだ」

弟達

この言葉に引っ掛かったが敢えてそこには触れなかった
この戦乱の世の中では珍しい話ではないだろう
そんな中に自分もくわわり戦うのかと思うと考えるだけで吐き気がする

「俺には五人弟がいたんだ」

とても悲しそうなそれとと同時に怒りが見える表情でいわれつい彼の頬に触れていた手がするりと下に落ちようとした
だが落ちていった手は下に下がりきる前にマダラによって捕まれた
捕まれた手はそっと、彼の手の上に重ねられた彼はたち膝をついたまま続けた
「イズナは俺にとってたった一人の弟になった。俺はイズナのことを守りたい」
マダラの意思は固く、例え自分の命を引き換えにしてまでもイズナのことを守るということは目を見ればすぐにわかった

「そして初めて、弟以外に守りたいと思った人がいる。ライラ、お前のことだ。弟以外に誰かをこんなにも守りたいと思ったのは初めてだ。」


そのまま、私の手は彼のほうへ引き寄せられそのまま唇へと寄せられた


「ライラを守ってみせる」


“ライラを守る”



ずきりと頭が痛くなった


ぼぉとその光景を見ているとマダラがつかんでいた手と逆の手で今度は私の頬に触れた

「どうした?」

えっ

そう問おうとしたら彼のてが濡れたのに気づいた

『なんで、』

私の頬には涙が伝っていた

「それは此方のセリフだ」


そういいマダラは私の頭を掴み自分の胸へ引き寄せた

最初は少し苦しかったがトントンとまるで、子供をあやすように背中を擦られとても落ち着いた
私はマダラの背中に腕を回しぎゅうっと力をいれた


暫くその状態でいると落ち着いたかとうえから声がしたのでコクりと頷いた

すると回されていたてが離れた

私は自分がまわしていた腕を離すのを忘れており彼が離したあとも変わらず抱き締めたままだった

「くくっ、まだこの状態のほうがいいか?」

私ははっとなりあわてて腕を離した

『ごっ、ごめんなさい』

「謝らなくていい。俺としては別にそのままでもよかったのだがな」

『もう、』

「まぁ、落ち着いてなによりだ。」

『うん。ありがとう。先程は取り乱してしまってごめんなさい』

「いや、気にするな。それと明日は早いから今日は少し早く寝よう。」


マダラはそういい押し入れをあけた

「そう言えばまだライラの布団を、こっちに持ってきていないな。今取ってくるから待っていてくれぬか?」

マダラが振り返る前に私は彼の背中に抱きついた

『今夜だけ一緒に…』


寝てもいい?そう尋ねると少しマダラの肩が揺れたききがした、
でもせめて今夜だけは1人で寝たくなかった
また記憶がなくなってしまいそうで怖かった。この人を忘れたくない
目が覚めたとき自分は1人じゃないと思いたいのだ。
私がそう尋ねるとマダラは少したじろぎながら俺は構わないと言ってくれた。私はありがとうと短く返事をしマダラから離れた

するとマダラは部屋の真ん中辺りに布団を敷いてくれた
一人用にしては随分と大きいものなので二人でも全然寝れるサイズだ

マダラは布団に座り、掛け布団をかけるとひょいひょいと手招きをした
私は指示されたところに座るとマダラが近くにあった明かりを消した

「おやすみ」

いつもより少しぎこちない声でマダラはそういい体を倒した

私も一緒に体をたおしマダラの方を向いた
マダラはというとどうやら仰向けのまま寝るようだ
私は邪魔にならない程度にそっと体をよせようとした
「そういえば」
その声と同時にマダラがこっちを向いた
自然と向かい合わせになったこの体勢ではお互いの鼻と鼻がくっつくほどの距離できっと私の何時もよりはやい心臓の音も聞こえてしまっているだろう。
マダラはというと私がこんなに近くにいるとは思ってなかったようで少し驚いていたように目を開いたがすぐに言葉を続けた
「その手の指輪はなんだ?先程まではつけていなかったように思えたが」

『あぁ、この指輪ね。私の着物の裾の部分に入っていたの。お風呂から上がってから嵌めてみたんだけど、』

私はここで口をつぐんだ
さっきの記憶のことは言うべきなのか?それとも言わないべきか
だが本当にたいしたことない記憶だ
別に私の個人情報がわかるようなことはないしそれに顔さえもはっきりしない
もっと詳しくわかったら話そう
私はそう思いそのあとに言葉は続けなかった

「ほぉ、よく見せてはくれぬか?」
私はコクりと頷き左手を出した
マダラはその指輪を見ると暫く動かずにじっと見ていた
どれくらいの時間そうしていただろうか
マダラは未だに私の手にはめられている指輪を眺めている
『マダラ?』
そう声をかけるとマダラははっと我に返ったようだ
「あぁ、気にするな。少しぼぉっとしていただけだ」
私が不思議そうに首を傾げると彼は私の頭をフワッと撫でた
そして腰に手を回して己の胸へひきよせた
必然的にマダラと密着する形になり私の鼓動が早まった。しかし何故だろう。こうしていると凄く落ち着く。
マダラは耳元で低くおやすみと呟き、私もそれに答えお休みといって目を閉じた

そして翌朝、イズナが部屋に入ってきて絶句したのはいうまでもない










(ライラ、本当になにもされてない!?)
(だから俺はなにもしてないって言っているだろ)
(兄さんには聞いてないよ!でライラ、実際どうなの?)
(ふふ、どうかしら?)
(おっ、おい、)

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