神代桜の奇跡

□漆
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「本当にそれしかないのか?」





俺は普段より少し声を低くして目の前にいるヒカクを睨み付けた

「まぁ、マダラ様の気持ちもわかりますが・・・この方法が一番皆の信用を得るにはよいかと」

「だがな、」


ライラは女だぞ


俺がそう言うとヒカクは苦笑いした

俺とライラが食事をとっている間ヒカクとイズナはどうやってライラをここにおこうか考えていたらしい、

それ自体はとてもありがたいことなのだが、内容が内容だ

ライラを戦に出す

確かに戦いを共にするということは一番信頼を得やすい

しかし、今日の時点でライラが忍びであったことはわかったがとてもじゃないが戦に出すことはできない

「先程の時点でライラ様のレベルは把握しました。それに、あの速さならば元の力を取り戻すまでそう長くはかからないでしょう」

「ヒカク、貴様見ていたのか」

俺は少し怒り口調でいった

「えぇ、あのチャクラの量からいってかなりの手練れだったかと」

まさかそこまで見ていたとは・・・
ライラの記憶のためとはいい忍術を教えるべきではなかったかもしれない
俺の行動一つでライラの運命を変えかねない

「もし彼女が力を取り戻し更にうちはに貢献してくるとあらば此方側としても損はない。それに上の者を黙らすことも容易いかと」

ライラをまるで道具のように思っているヒカクに俺は少し苛立った
するとヒカクは苦笑いを浮かべ言葉を続けた

「別に彼女を利用しようと考えてるわけではないですよ?只、今後の彼女のためを思ってのことです」

どうやらヒカクは俺の考えてたことがわかっていたらしい。

「流石だな。しかしだ、そうだとしても戦に出すのは少々難があるとは思わんか?」

そう、いくらなんでも戦という自分の命が懸かっている場において新しく入った、しかも身元もわからぬ女だとあらば戦に支障を来すやも知れない

「まぁ、そうですが。そこはマダラ様やイズナ様のお力で何とかしてください。」

「全く。好き勝手言うなよ。それにイズナは反対ではないのか?」

「イズナ様にはこの事はお話ししております。それに、今頃ライラ様にこの事を伝えておるかと」

俺はそれを聞くと小さくためいきした


「既に手配済みか」

まさかライラにまで伝わっていたとは


嫌がって逃げ出すだろうか?

それとも泣き出してしまうだろうか?

はたまた・・・


俺が眉間に皺を寄せているとヒカクが不思議そうに尋ねてきた


「マダラ様をそこまで魅了するあの方は本当に、一体何者なのですか?」

何者か、それは俺も聞きたいぐらいだ
何故かと聞かれても答えようがない。昨日初めて出会ったのだから。

自分でも不思議なほど頭が彼女のことで一杯なのだ

「知らぬ。俺が聞きたいぐらいだ」

「確かに容姿は私が今まで出合った女性のなかで一番美しいですが。マダラ様が そんなことで全くの他人を屋敷に連れ込むなどとは到底思いません」

「容姿ではないのは確かだが、他人であることも確かだ」

「それならば何故?」

「わからん。本当に。ただ・・・懐かしかったのだ」


俺がそう言うとヒカクは更に不思議そうな顔をした

「そうですか・・・、マダラ様のことですから何か訳があるのでしょう。私にも協力させてください」

「ヒカク・・・。俺はできのいい部下を持ったな」


俺はふっと鼻で笑うとヒカクの口角も上がった

「それに、ライラ様が屋敷にいてくれるとあらば私も働き甲斐があるってもんです」

「なっ!お前、」

ヒカクは立ち上がり部屋を出ていこうとした

「ハハハッ、別に手を出そうとかそう言った下心はありませんよ?マダラ様と違って」

「いい加減にしろよ」

俺は片手で頭をおさえた

「まぁ、主人の姫君と有らば尽くすのも当然のことです」

「勝手にしろ」

俺はそう言いヒカクから目を反らした
そうするとヒカクは失礼しますと一言言い部屋を出ていった


外を見ると大分日が傾いていた

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