神代桜の奇跡

□肆
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少し外に出てみたい、そんな彼女の頼みを断ったのはほんの5分ほど前のことだ

やはりうちはの者でないのがうちはの敷地をウロウロするのはさすがに危険である

それに上のじじばば共にはまだ何も伝えていない。下手をしたら殺されてしまう恐れがある。

遅かれはやかれ気付かれるなら早く言ってどうにかうちはに置くよう仕向けなくては

その為にはまず頭領の弟であるつまり俺の弟のイズナの説得も必要であるため、まずはライラに敵意がないこを分からす必要があるのだ
こう言った理由で彼女を人目につかせたくないのである

「外に出してやれなくてすまないな」
そう言うと彼女はこちらを見て少し首を傾げた

『なぜ貴方が謝るの?』

「なぜと言われてもな・・・。外に出たいと言ったのを許可しなかったのは俺だからな、」

『とんでもないわ。分かってますから』
分かってる?俺がそう言うと彼女は俺が考えていたことを全て当てて見せた。
彼女をここに置くためには色々な人に断らなくてはいけないこと、それにはイズナも含まれていること。また迂闊に外に出れるほどこの時代は治安がよくないことも。

「隠す必要もない。全くその通りだ。」

『私はどうしたら良いのかしら?』

「俺が上手いことやるさ」

『フフッ。随分な自身ね』

「これでも頭領だからな。こう言ったことは慣れてはいる」

『あら頭領なの。そう言えば・・・お名前をお伺いしてもよろしいかしら?』

「俺はうちはマダラだ。遅れてすまない。先程のやつは弟のイズナだ。」

『マダラさんとイズナさんですね。』

「さん付けはよせ。呼び捨てで構わん」
『それでは遠慮なく』

俺は腰をあげ彼女の側により膝をついて彼女の頬に左手を添えた

「お前は何の心配もいらん」

彼女は両手で俺の左手を掴むと少し肩をすくめてスッと笑った

他人を愛しい、だなんて自分には無縁だと思っていた
其なのに俺は何故こんなにも、
『マダラ・・・?』
トクンと胸が脈をうった
「いや・・・、気にするな少し考え事をしていただけだ」
俺は少し顔をそらしてそう言った

一体俺はどうしてしまったのだろうか

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