短編

□plus minus
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 窓から差し込む日差しが、暖かくて眠くなる。金曜日の午後、数学の時間。
1番後ろの席をいいことに、机に突っ伏して、うとうとする私。
一方隣の席のヤツは、授業そっちのけで窓の外をボーっと見つめてる。


「……結弦くん。」

「は、え?」

「呼ばれてる。ほら、みきも起きて。」

「んぅ?」


前の席の麻由子に揺さぶられ
瞼をこすりながら前を見ると、あきれた顔の先生がいた。


「お前らなぁ……眠いのもわかるが、授業態度悪すぎるぞ。」

「はーい……。」

「そういう先生も、テスト監督の時、爆睡だったじゃないっすか。」

「おまっ……諸君。今聞いたことは門外不出で頼むぞ〜。」


 教室に笑い声が響く。数学は苦手だけど、今日は良かった。
先生は若くてテキトーだから、態度が悪くても笑って許してくれるのだ。

これが物理の時間だったら、うるさいババア先生なので
雷が落ちて、放課後は2人揃って補習だっただろう。


 板書から帰ってきた本郷は、席に座ると
ルーズリーフに何か書いて、渡してきた。


『ババアの授業の時間じゃなくて良かったな』


隣人の顔を見てニヤリと笑うと、ヤツもニヤリと笑う。
どうやら考えていたことは同じらしい。



 私とヤツ―、本郷結弦は、隣の席だ。
しかし、それ以外接点があるわけでもなく、仲が別段いいわけでもない。

共通点といえば、お互い授業態度が悪いくらいだ。
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