「泥警-前編-」


□に
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「はぁ・・はぁ・・ははは!ほらなっ!!・・・ははっ」

小原も私もほっとしたのか、同時に座り込んだ。

二人とも冷や汗が半端ない・・・。

翼は!?

落としてた顔を一気に上げると、翼の姿は無かった。

何・・で?さっき見た翼は幻覚だったのかな?

「小原・・今の内に家くる?喉カラカラだし」

「あ、そーする」

ゆっくり立ち上がってフラフラな足取りで歩き出した。

「そーだ、携帯・・」

スクバの中だ・・。

「俺、あるよ。かけるべ?ポリに」

「うん」

小原はポッケから携帯を出し私に顔を向けた。

「118?だっけ?」

「ばかっ、貸して」

小原の携帯をうばって110番にかけた。

『はい、神奈川県警察です。事件ですか?事故ですか?』

「え、事故?いや事件です!」

『もしもーし?どうしたんですか?落ち着いて下さい』

「落ち着いてます!実は白い仮面や黒い仮面の人に『もしもし?』

「え?あの・・・聞こえてますか?」

『イタズラか?』

「ちがいま・・」

ツーツー・・

「あれ?」

「何?」

「なんか、私の声、聞こえてなかったみたいな・・」

「なんだそれ?ちょ、貸せ!」

小原が誰かに電話をかける。

「ぷっか・・・?」

「おい!」

「冗談いらねえよ!!何なんだよ!!」

「くっそ!」

携帯をポッケに入れ、唾を吐いた。

「学校行こーぜ、お前携帯学校だろ?」

「でも、行きたくない」

怖いじゃん、死体とか残ってたら・・。

「行くぞ。俺と川島なら連絡とれると思うし、バラバラになったら困るだろ」

「・・・うん」

まだ周りにいるんじゃないか、あの仮面たちがいるんじゃないかって・・

身体が勝手にあちこちを見渡す。

見覚えのある死体がいくつかある。

それを見るだけで息が荒ぎ、脚がガクガクと奮え、涙がにじむ。

前を歩く小原がチラチラと私を見てくれる。

あ、おばさんが歩いてる・・。

私はすかさずおばさんに話しかけた。

「あの、警察を呼んでいただけますか?」
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