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□また、いつか*
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そして、俺は父さんと母さんに聞いたんだ。
「 名無しさん 、最近見ないけど、どうしたの?」と。
それを聞いた時、父さんは俺の頭を撫でながら、”太陽、 名無しさん ちゃんは元気になって退院したんだ“と言った。
その隣で母さんは、涙を流していた。

幼い俺は、涙の理由なんて分か
らなかった。

だけど、やっと分かったんだ。
名無しさん は死んじゃったのだと。

ー大好きなサッカーも出来ないー
ー大好きだった 名無しさん もいないー
この世に、俺が生きる理由なんて、もう無い。

さぁ、終わりにしよう。

俺は小さく一歩踏み出す。

ねぇ、神様。
もし、俺が生まれ変われたら、また 名無しさん に会わせて下さい。

そして、 名無しさん に伝えるんだ。
あの笑顔も、綺麗な髪も、小さい手も、全部、全部が
   ー大好きだー
         と。

ふと、右手が暖かくなった。
右を見たら、 名無しさん がいた。
現実なのか、幻なのかなんて、どうでもいい。
嬉しかった。涙がでた。
また、 名無しさん と会えた…

名無しさん は笑う。
俺の大好きな笑顔で。
つられて俺も涙で、ぐしゃぐしゃの顔で笑う。

「 名無しさん 、迎えに来てくれてありがとう。」

名無しさん の手を、強く握り締めて一緒に飛び降りる。
名無しさん は、俺を抱き締めてくれた。
俺も、 名無しさん を抱き締める。

「生まれ変わったら、また会おうね 名無しさん 。」
俺は、そう呟いて目を閉じた。
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