ハリー・ポッター(夢)
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次の日、朝食を摂ってから出かけるダンブルドアを見送り、みんなで家の奥へと連れて行かれる。
「じゃぁ、着替えてこい」
そう言われて、白い胴着と言うものにみんなで着替えた。
更衣室から出れば、自分たちの親も同じ格好でそこにいた。
「今日は柔道な。麻耶ちゃんたちに飯の準備は頼んであっから、頑張れよ」
ニヤッと笑った顔に、嫌な予感しかしなかった。
今、トムと竹人の隣で蘭樹がパーシーを投げ飛ばしている。
その前はあのフレッドとジョージを投げ飛ばして、二人の体力が尽きるまでやり合っていたのに、なんだあの体力は。
「ロン、もう終わりかい?」
「、パパも、どうなってんの?」
ロンの相手をしていたアーサーは息を乱しながらも平然と立っている。
その向こうに見えるルシウスとドラコのやり取りを見ても、どうなってんのとしか言いようがない。
ハリーはと見回せば、自分の母親にのされていた。可哀相だった。
ハーマイオニーやルーナ、ジニーは椿たちに相手にされているし。
それを手助けしているクィレルに普段のひ弱さは感じない。
何だこれ。
レギュラスはシリウスに何かの技をかけているらしい。
シリウスがバンバン畳を叩いている。
ジェームズはピーターとやり合い、自分が抑え込まれている事に驚いているようだった。
そして梅並とセブルスは、互いを投げて投げられてを繰り返している。
間合いを取っているのか、じりじりと胴着の襟をつかむ隙を狙っている姿に誰だとしか言えなかった。
「頑張ってる?」
「ご飯の時間よ」
呼びに来た桜花たちに、みんなは助かったと畳に手を付いて息を荒げていた。そんな中、
「また負けた」
「勝たせるか」
「男の沽券?」
「意地だ」
梅並の手を引いて立ち上がらせているセブルス。
その姿は夫婦の愛情と言うより友情が合っていると思う。
「レギュ、ラス!」
「ほら、ギブって言わないとやめませんよ」
まだ続いている兄弟のケンカ。
「ピーター、君いつからそんなにっ、強くなったの?」
「気が付いたら」
「ダーリンは努力家だものね!」
「いや、やらざる負えなかったってのがあってんだろ」
「いつの間にかこんなに大きくなっていたのだな」
「父上、そんなに、強かったん、ですか」
みんながゼーハー言いながら昼食へ向い、味とかもう考えないでとにかく食べた。
その後は変わるがわるシャワーを浴びて、浴び終わった者から床で伸びている。
「だらしねぇな」
「初日じゃしょうがないよ」
「う、腕いてぇっ」
「おじさん直伝の腕ひしぎかけてやりました」
「お母さん、強すぎ」
「ウメナミには負けるわよ」
「午後からは自由時間だ!遊びてぇ奴は森行って来い!」
「ジョージ、動けるか?」
「いいや、クィディッチの練習でウッドにしごかれた時よりキてる」
「僕もだ」
「じゃぁ、川に行くのは僕たちだけ?」
「楽しいからみんなも行こうよ」
「お母さんたちは何してるの?研究?」
「足りない材料があるから取りに行こうかって考えてたよ」
「河童の爪もなくなりそうだ」
「私もついて行っていい?」
あんなに動いたのにこれら出かける話をしている家族に、嘘だろと目を見開くみんな。
「スネイプって、インドア派じゃなかったのか」
「基本はそうだろうけどな。でも材料は自分で取りに行くし、そうでもねぇよ」
「信じられない」
ジェームズとシリウスにため息を吐いて、蘭樹が言う。
「何回言やわかんだ。うちは実力主義だぞ」
そろそろあいつを認めろと、二人の頭を小突いて立ち上がった。
「お前ら立ち上がれ!木元家恒例『川遊び』に行くぞ!!」
「「さっき自由時間って言ったじゃん!!」」
「気が変わった!俺も川に行く!」
「じゃぁ僕も行きます」
「・・・私たちも行くべきだな」
「そうだね、帰りが心配だ」
哀れそうに自分を見てくる父親に首を傾げたドラコだが、その意味はすぐに分かった。
「ふははは!!」
「うわー!!」
「女子供だろうが容赦なしじゃー!!」
「きゃー!!」
「誰かランジュを止めろ!」
「フレッド!水爆弾の残りはあと何個だ!?」
「さっきのでラストだ!」
「あんなもんが効くと思うたかガキども!!」
「「くそー!!」」
「蘭樹は変わらないな」
「全くだ」
「なに年寄見てぇなこと言ってんだ!お前らもやんだよ!」
「「は?」」
「夏休みこそ思いっきり遊べ!!」
バンッと水面に手を付いて、グッと掴むと手の動きに合わせて水が浮き上がる。
「こんなこともあろうかと新しい術を水龍に習っておいた!」
「馬鹿かお前は!?」
「そんなすごい技をこんな所で使うなんてっ」
「人質になりたい奴は名乗り出ろ!」
「そんな人いませんよ!」
「なら逃げ遅れた奴だ!」
掴まったのはドラコとルーナ。
うわーと叫んでみんなで助けに行くそれを妨害するのは蘭樹が操る水の壁。
ローズと竹人がそれを破り、みんなでわーきゃー言いながら蘭樹にふっとばされていた。
「いやー、遊んだな!」
「ええ」
「もう体力が残ってない」
「僕も」
「頑張れ!家に帰るまでが遠足だ!」
「遠足に行った覚えがない」
「パーシー、大丈夫かい?」
「あ、あんまり」
蘭樹に担がれているジニーと、アーサーの肩を借りながらどうにか歩いているパーシー。
ドラコはルシウスの背中で半分意識を飛ばしているし、ハーマイオニーはレギュラスの背中に乗ってぐったりしていた。
「これがなんでも部だ!」
「念のため言ってお行くけど、研究もちゃんとしいたよ」
「ああ。とても真面目にな」
「だからこそ休みは遊ばねぇとな!」
パーシーにとっては最後の夏休みだから思い出になっただろと笑って、全員びしゃびしゃのまま家へたどり着いた。
それから二日後、みんなが柔道の事を少しわかり始めた頃に帰ってきた蘭樹の父である鳶丸。
その次の日の朝、みんなは強化合宿はこれからだったんだと思い知ったのだった。
柔道に加え剣道も始まり、午前中はバシバシしごかれ、午後は川や森で遊ぶ日々。
夜は死んだように眠るを繰り返している。
最初はにらみ合っていたドラコとハリーたちだったが、互いに疲れすぎてそんなのもどうでも良くなった。