ハリー・ポッター(夢)

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女の子は大きな部屋を一つ使う事になったが、男の子は人数が多いという事で二部屋に分けられた。

「ランジュ、なんでお前の息子は女の恰好してんだ?」
「日本の風習だ。梅並だってそうだったろ」

「・・・」
「この子たちは、女の子で合ってる?」

「あたりめぇだろ。ふざけんな」
「もう訳がわかんねぇよ!」

蓮花、苧環、竹人を前に頭を抱えるジェームズとシリウス。
それを笑っている大人たち。子供たちも笑ってはいるが、同じ事を思っていた。

「あなたがシリウス?」
「あ?ああ、そうだ」

話しかけてきたのは双子の片割れである蓮花だった。シリウスを見上げてニッコリ笑うと、

「私、大人になったらレギュラスと結婚するの。よろしくねお義兄さん」
「・・・は?」

みんなが蓮花を見た後、レギュラスに視線を向ける。
そこにはテーブルに頬杖をついて笑っている弟がいた。

「気長に待ってるよ」
「大丈夫よ。女の子の成長は早いっておばさんが言ってたから」

「ちょっ、待て待て!どういう事だ!?」
「どうもこうも、そう言う事だ」

「どういう事だ!」
「蓮花はレギュラスが好きなんだよね」

「とっても!」
「嬉しいな」

はははと笑って、自分の隣にやって来た蓮花の頭を撫でるレギュラス。

「ランジュはそれでいいの!?」
「うちは恋愛自由だからな」

「自由にも程があんだろ!?」
「いいじゃねぇか。本人たちが良いっつってんだから」

「お前の娘だろ!!」
「分かってねぇな」

はぁとため息を吐いて、蘭樹は苧環と向き合う。

「苧環、レギュラスの兄貴だし、シリウスなんかどうだ?」
「はぁ!?」

何を言い出してんだと蘭樹に抗議の声を上げるシリウスだが、

「嫌よ。私はもっと可愛い人がいいの」
「・・・」

「な?」

この感じを、大人組はみんな知っていた。
蘭樹の姉である桜花と桃花。あの二人を彷彿とさせるこの感じ。

「僕はもう悟りました」
「まだ若いのに」

「先輩が二人も居ましたからね」
「・・・そうだな」

ヴァレンタインの日を思い出して、セブルスと梅並は口を閉じる。

「えっと、可愛いって、年下が好みって事?」

ジェームズが場を和ませようと聞けば、笑顔を深めて答える苧環。

「いいえ。歳は上でもいいの。子供っぽい所が良いってこと」
「子供っぽいって、自分のがガキだろ」

「そういう所がクソガキって言われるのよ」
「ああ!?」

「シリウス!相手は子供だから!」

シリウスを止めるジェームズを見ていると、食器を持って来た椿が口を開く。

「苧環の相手はもう決まってるから駄目よ」
「は!?」

「アルバスおじいちゃんがね、思い当たる人がいるって教えてくれたの」
「ダンブルドア!?」

「みんなも知ってる人よ」
「誰!!?」

「ニコラス・フラメル!?」
「その人はもう奥さんがいるわ!」

「ルビウス・ハグリットって言うんですって。会うのが楽しみだわ」

ご機嫌な顔で蓮花の隣に座る苧環に、子供組が目を見開く。

「僕、ハグリットに何か言った方がいい?」
「・・・分からないわ」

ハリーは自分のキャパシティーをオーバーしたので頭のいいハーマイオニーに助けを求めるが、ハーマイオニーもオーバーしているようだった。

「ツバキは?どんな人がタイプなの?」

ナルシッサが持って来た大皿をテーブルに置きながら聞けば、椿はニコリと笑顔を見せる。

「私を好きになってくれる人」
「まぁ!じゃぁ選り取りみどりね!」

「それは言い過ぎです」
「タケヒトには、まだ早いわね」

モリーもやって来て言うが、子供たちの中で一番小さい子を見て苦笑する。しかし、

「僕はもう婚約してますよ」
「え!?」

「息吹さんです」

嬉しそうに笑う竹人を見て、大人組は目を見開いて蘭樹を見る。

「ほら、うち恋愛自由だから」
「お前、」

「まぁ、うん」
「そうね。結婚は本人たちの自由ですものね」

「結婚する時はみんなでお祝いしなくちゃね」

大人たちが話しを終わらせようとするので、子供たちは訳が分からないとそれぞれ口を開き出す。

「どういう事!?」
「イブキさんって誰!?」

「絶世の美女よ」
「「リリー(お母さん)は知ってるの!?」」

「どんなショタコンだよ!?」
「ええ、いろんな事を教えてくれたわ。あと、ショタコンではないわよ」

「ドラコ、森で美人に会って目を見られても変に抗うんじゃないよ」
「どういう事ですか?」

「みんな、絶対に森で悪さをしない事。良いね」
「「なにそれ?」」

「テングたちにはちゃんと挨拶したよ?」
「あの森にはテング以外にもたくさん住んでいるんだよ」

「何が住んでるの?」

ジニーの質問には梅並が答えた。

「尻尾が二股になってる猫とか、尻尾が九本の狐とか、いろいろだよ」
「私知ってる。日本の妖怪でしょ?パパが教えてくれた」

「物知りなお父さんだね」

ルーナに笑いかけ、昼食の準備ができたとみんなで席に着き、

「ま、気になんなら自分で見てこい」

蘭樹が笑っていただきますと手を合わせた。
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