ハリー・ポッター(夢)
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「蘭樹!いるかい?」
「おお!アーサー!モリー!来たか!!」
再会を喜びながら抱擁を交わす三人。そして、その子供たち。
「ルシウスはまだ来てないのかい?」
「あいつももうすぐ来ると思うぜ。トム、竹人、みんなを部屋に案内してやってくれ」
トムが歩き出すとジニーが悲鳴を上げた。みんながそれに驚いて視線を移せば、
「大丈夫。サザーはいい子だから噛んだりしないよ」
トムの足元から肩へ這い上がって来た一匹の蛇。それも頭に文字が書かれた紙が貼りついている。
「「かっこいいー!!」」
「でしょ?」
「この紙なに?」
「はがさないでね。サザーはバジリスクだから」
目を見たらみんな死んじゃうと、指の先で顎の下を撫でる。
「入学祝いで俺らからな。トムの使い魔だ」
「使い魔?!」
「でも、ホグワーツには指定された動物しか連れて行っちゃダメなんじゃ」
「んなことねぇよ。ちゃんと使い魔として認められて申請だせばな」
うちなんかカラスだし、ハグリットのとこには犬がいるだろと言う蘭樹に、みんなが顔を見合わせる。
「「僕たちが知らなかっただけか!!」」
「僕も触って大丈夫?」
男の子たちにはすぐに受け入れられたが、ジニーは遠巻きに見て近づこうとしない。
その後、ハリーと共にやって来たリリーに殴られている蘭樹をみんなで見て、トムのペットであるサザーを紹介した。
「ウメナミとセブはいないの?」
「います。セブルス!リリーたちが来たぞ!」
「なんでスネイプしか呼ばないのさ」
「うっせクソガキ」
「僕っていつまでクソガキなの!?」
「お前らはいつまでもセットでクソガキだよ!」
「俺もかよ!?」
「ハリー、言ってなかったの?」
「・・・忘れてた」
椿とハリーが小声で話していると、家の中からセブルスがやって来た。
その姿を見て子供たちが目を見開く。
いつも真っ黒のローブを着ていて陰険そのもののような小難しい顔をしているというのに、
「セブ!久しぶりね!!」
「リリー」
セブルスはラフな黒のパンツと白いシャツでそこに居たのだ。
ハリーも自分の母親と親しそうに抱き合っているその男を見て、本当に自分が知っているあのセブルス・スネイプなのだろうかと疑ってしまったくらいだ。
「ウメナミはどこ?ホグワーツにいるなんて、ハリーから聞くまで予想もしてなかったわ!」
「一応秘密事項だったからな。梅並は今裏の畑に、」
「みんなもう来てたんだ。あれ、リリー?」
声がした方をみんなが見る。もちろんシリウスも。
そこにはいつもの着物ではなく、ジーンズとシャツという姿で髪を団子のように結った梅並がいた。
手には大きな籠を持っていて、中には沢山の野菜や果物が入っている。
「ウメナミ!あなたちっとも変っていないわ!」
「ありがとう、リリーはますます美人になっていくね」
今は手が汚れているから握手は出来ないんだと言うが、リリーは構わず梅並に抱きついていた。
「ポッターとブラックも久しぶり。君たちも変わらないね」
相変わらず二人セットだとクスクス笑う梅並に、シリウスの顔が赤らんでいく。
「まぁ!この子たちがローズとマーガレットね?!」
「うん。二人ともご挨拶して。お母さんたちの友人だよ」
「「初めまして」」
「ローズ・スネイプです」
「マーガレット・スネイプです」
「よろしくね二人とも!私はリリー・ポッターよ。ハリー!この子が息子のハリー。よろしくね」
「「よろしくねハリー」」
「う、うん」
艶々した真っ黒な黒髪は少し癖があって、鼻がちょっと鉤鼻っぽい。
薄い唇は赤くてすごく可愛い双子の女の子。
「しばらく見ないうちにまた可愛くなったね二人とも!」
「アーサーおじさん!モリーおばさん!」
「今日はいつまでいられるの?」
アーサーに抱きつく二人を見て、その子供たちが固まる。
そしてそれぞれ口を開いて父親に詰め寄っていく。
「パパ知ってたの!?」
「そりゃそうさ。生まれた時から知ってるよ」
「え!?」
「あの頃からとっても可愛かったのよ」
ワイワイ騒いでいるみんなを眺める様に一歩引いて見ているシリウス。
ジェームズがやって来て、その肩をたたいた。
「パッドフッド、そんなに落ち込まないで」
「誰が落ち込むか」
「素直じゃないね」
噛みつかんばかりの勢いでジェームズを睨むシリウス。
そんな二人の後ろから聞き覚えのある声がかけられた。
「あれ、兄さんも来たんですか」
振り返ったそこに居たのは、間違いなくシリウスの弟、レギュラスだった。
「おまっ、なんでここにいる!?」
「なんでって、第二の家ですから」
半分住んでるようなものですよと、手を叩いて土を落とす。
「「はぁ!!?」」
叫んでいればルーナ、ハーマイオニーが来て、ついでマルフォイ一家もやって来た。
「とりあえず荷物置いて来い。話は飯でも食いながらゆっくりしようぜ」
「そうだね。これからもう二家族来るし、準備が忙しいよ」
手伝うわと名乗り出たモリーとナルシッサ。それに礼を言っていると、
「梅並様!籠はラグめがお持ちいたします!」
「ありがとう。キッチンに置いておいてくれる?」
「かしこまりました!!」
その生き物を見て、子供たちだけでなくジェームズとシリウスまでが目を見開いた。
「屋敷しもべ妖精!!?」
「うん。ラグっていうんだ。うちの子だよ」
「セブルスが拾ってきたんだよな?」
「まぁ、・・・間違いではないな」
「中にクリーチャーも来てますよ」
「あいつが!?」
「もう無視とかしないでよ?兄さん」
睨みながら釘を刺したレギュラスに渋い顔をして、家の中へ入って行った。
「おばさんは?」
「父さんと母さんは二人で温泉旅行です。あと二、三日したら帰ってきますよ」
「お婆様はお代わりなかったかい?」
「はい、奥にいます。ルシウスさんを見たら喜びますよ」
そんな話で盛り上がっている大人たちだった。