ハリー・ポッター(夢)

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椿はあっという間に教師たちに気に入られた。

弱い者いじめをしていたら上級生だろうと見過ごさず、勉強もできるようでガンガン点を稼いでいく。
だが、生徒同士の間では少し変わり者扱いをされていた。

「ツバキ、大丈夫?」
「大丈夫よ」

下で見守っているルーナと、半泣きになっている小さな男の子。
ネクタイの色からグリフィンドール生だと分かった。

「ここに上げられたのは鞄だけ?」
「、うん」

椿は裸足で城の壁を登って行く。そして、木登りをした時のようにスルスルと降りてくる。

「スゲー」

ドラコの隣でクラッブが間抜けくさい声で言う。

「まるで猿だな」

言えば、鞄を受け取った生徒は肩を揺らして怯えを表した。しかし、

「なら、あなたはカエルね」

椿は怯んだ様子もなく、前に言ったことと同じ言葉を口にする。

「ドラコのどこがカエルですって!?」

側にいたパンジーが前へ出て、頭一つ分以上小さい椿を睨みつける。

「あなたはどうして今の会話に入って来たの?」
「あんたがドラコを貶したからよ!」

「そう、あなたはマルフォイ先輩が大切なのね。ならいいわ」

そう言ってパンジーを避けてドラコに一歩近づく。

「でも私はこの人と話していたの」

椿はあの無表情で口を開く。

「もっと頭を使って、人の心を理解する努力をすべきだわ」
「なんだと?」

ドラコに背を向けてルーナと男の子へ近づいて行く。そして、自分の荷物を受け取って、

「“あなたって馬鹿ね”」

ハッキリと言ったのに、椿の言葉は日本語で誰にも理解できなかった。
だが、ドラコには分かったような気がした。

ルーナと一緒に廊下を歩く後ろで、黒いポニーテールが揺れていた。


ハグリットの小屋でお茶を振る舞われながら先ほどあった出来事を話し出す。

「ウメナミ先生ってどんな人なの?」
「フレッドとジョージはジゴロって言ってたよ」

「それなに?」
「授業も面白いって」

他のみんなも言ってたとハリーが言えば、ハグリットがだろうなと頷いた。

「あいつは昔から女にモテとったからな」
「ハグリット、先生のこと知ってるの!?」

「あたり前だろ。あいつが入学した時から知っちょる」

食えと出されたのは歯が折れそうなくらい固いビスケット。

「じゃぁなんでも部は!?」
「それも知っちょる。あの部はすごかったぞ」

テストになれば全員がトップに躍り出るほど優秀なのに、大広間で突然始まる大騒ぎ。

「ウメナミは料理がうまくてな。新入部員が入るたび歓迎会やっとたぞ」
「その時から寮とか関係なかったの?」

「ああ、あん時は部員のみんなでスリザリンのテーブルに座っとった」

グリフィンドールもレイブンクローも関係なく。みんなが座って楽しそうに話していた。

「ハーマイオニーはともかく、なんでお前らがそれを知らねぇんだ?」
「「え?」」

「アーサーもリリーも、なんでも部に入ってただろ」

その言葉に立ち上がって叫ぶハリーとロン。

「そんな話聞いた事ないよ!!」
「僕もだ!パパもママも言ってなかったよ?!」

話してない理由は知らないけどと肩をすくめてハーマイオニーに向き合う。

「あの部はスゲェぞ。なんせ戦争の時活躍した奴らがほとんど入ってたからな」
「戦争の時?」

「なんだ、聞いてねぇのか?夏休みに強化合宿があんだろ」

そう言えばそんな事言ってたと言えば、ハグリットは昔を懐かしむように上を向く。

「スネイプなんか杖を奪われたのに相手に立ち向かってな」

そして勝利を収めたんだと誇らしそうに笑う友人に、自分たちの知らない事実が多すぎて驚きがついて行かないハリーたち。

「僕、クリスマスに帰ったらパパに聞いてみるよ」
「僕も。お母さんが部に入ってたなんて、知らなかった」

お互いの両親について話している二人を見て、

「私、入ってみようかしら」
「ハーマイオニーならぴったりだろう。何を研究すんだ?」

「そこまではまだ。もう少し考えてみるわ」

ロンはまだ知らなかったが、クリスマス休暇で家に帰った時父親であるアーサーになんでも部の話をせがんでいると、

「「僕たちも入ることにしたんだ」」

兄であるフレッドとジョージがすでになんでも部に入っていた。
それを聞いたアーサーとモリーが大喜びで双子を抱きしめ、そして、

「車を透明にする魔法を作ったのは、私がまだ学生だった時なんだよ」
「ええ!?」

「当時は車じゃなかったけれどね。私がやっていた研究は魔法の簡略化だったから」

だからボタン一つで透明になるようにできたんだと、マグルの世界に興味を持ったのも蘭樹の家に行ったのが始まりだしと、今まで聞いたことのない父の話しに子供たちは大興奮だった。
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