ハリー・ポッター(夢)

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「それで?トムが来年入学するとはどういうことだ」

ルシウスの顔が利く店の個室へ入って問いただす。

「どうもこうも、そう言う事」
「どういう事なのか全く分からない!あの戦いの後どうなったのか説明してくれ!」

アーサーが声を上げると同時に扉が開き、メニューを持ったウェイターが少し困惑気味に入ってきた。

「俺ジンジャエールで」
「私はコーヒーを貰おう」

「私には紅茶を、それと飲み物を持ってきたらこちらから呼ぶまで注文は取りに来なくていい」
「はい、かしこまりました」

それだけ言って出て行き、最初から用意していたのかと思うほどすぐに注文した品を持って来た。
ウェイターが出て行ったのを確認して防音魔法をかける。

「あの後な、つーかその前から話すか」
「前?」

「そ、木元家の不思議」

祈祷をする木元家の発生。

それがいつなのか誰も知らない。
それと同じように、日本にはいつ書かれたのか分からない程古いおとぎ話がいくつもある。

その一つが、竹取物語。

祈祷とはつまり、人間以外の者に願いを聞いてもらえるように交渉するという事だ。
昔の人々はその存在を神と呼んだ。

「竹取物語には、竹から生まれた女の子が出てくる。ある説ではそれが天界で悪さしたから人間の世界に落とされた天女だって言われてる」

本当かどうかは誰にも分からない。
この竹取物語も木元家の噂を聞いて書かれたもので、全てを信用できるわけではないと蘭樹は言う。

「なんにせよ、自然の力以外が加わったその竹がただの竹でいられる訳がなかった」

不思議な力を持ってしまったその竹は、今でも森の奥深くで生き続けているという。

「俺はトムの魂を日本に連れ帰って、その竹に入れたんだ」

一つだけではなく、分けてしまった全ての魂を一つの竹に注ぎ込み、そして生まれた新しい命。

「だけど生前と同じって訳じゃねぇ。同じ魂と同じ姿をした、別人だ」

その生まれた子供を引き取ったのはダンブルドア。
トムはトム・ダンブルドアとして新しい生を受けた。

「丁度梅並の出産する時期と重なったしな。俺たちで愛情注ぎまくって育てたよ」

おかげで俺大好きのファザコンになったと笑う蘭樹に二人ともテーブルに肘をついて深いため息を吐いた。

「トムには、ヴォルデモートの事を話してあるのか?」
「おう。っつーか、記憶は残ってるみてぇだぜ」

「え!?」
「でも、やっぱ自分とは別人って感じるみてぇ」

生まれたばかりの頃は記憶が混同して不安定になった事もあったが、今はもうしっかりと区別ができているらしい。

「闇に捕らわれる可能性は?」
「ゼロじゃねぇだろうけどな。今のとこ大丈夫だ」

「容姿が同じと言うのは、辛いことになるだろうね」

アーサーが苦々しげに言えば、そこなんだよと蘭樹が肩を落とす。

「死喰い人の中には恐怖心じゃなくて、本気で忠誠誓ってた奴もいるんだろ?」
「ああ、ヴォルデモートのためなら命も惜しくないと豪語していた奴もいる」

「そいつらがトムを見たら、ぜってぇ連れ戻そうとするだろうな」

諦め悪ぃと渋い顔をしてジンジャエールを飲む。

「その事もトムには言ってある。それに、梅並が教師になってホグワーツに行くしな。またなんでも部を発足するってよ」
「メンバーは?」

「どうにかなんじゃね?」
「適当過ぎるんじゃないか?」

「こればっかりはな。俺が行って生徒を見れる訳じゃねぇし」

それにトムが入学する時はローズとマーガレットも入学するから、椿も入れて後一人いれば部として成り立つと笑った。

「来年がダメでも、再来年にはうちの双子も入るだろうし、その二年後には竹人もいる」
「君は何人子供がいるんだ?」

「四人、みんな可愛いぜ」
「お婆様は何か言っていなかったのか?」

「今の所はな。未来は変わるからとか言ってたけど、俺はそこまで心配してねぇよ」
「根拠は?」

聞くと、ニヤッと笑ってテーブルに片肘を付く。

「ローズと仲がいい」
「「・・・ああ」」

「あいつらぜってぇくっつくね」

クックックと笑って、ウェイターが置いて行ったメニューを開いて眺め出す。

「腹減った、ここってルシウスのおごり?」
「なぜだ。むしろお前がおごれ」

「そうだ、今まで連絡もよこさなかった誠意を見せてくれ」

そう言って二人もメニューを開いて料理を眺める。

「ちょっ、うちお小遣い制なんですけど!」
「それは私も同じだよ」

「あの山奥じゃ使うこともないだろ」
「それが使うんだなぁ!漫画とか漫画とかプロレス雑誌とか!」

「ほとんどマンガじゃないか」
「アーサー、ここはローストビーフがお勧めだ」

「オーッと!一番高いのきたー!」
「じゃぁ、それにサラダとスープを付けようかな」

「私も同じものでいいか」
「あー!二倍!ちょっと!この後椿とランデブーしたかったんですけど!」

「あの子は良い子だった。ドラコの婚約者にしたいくらいだ」
「うちは自由恋愛です!」

「うちの子たちもいるのを忘れないでくれ」
「聞いて!俺の話聞いて!」

呼ばれたから行ったのにワーワー騒いで注文を取れないウェイターがいたとかいなかったとか。
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