ハリー・ポッター(夢)

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「まさか公衆の面前でプロレスやらされるなんて」

メソメソしている蘭樹は無視して、ルシウスとアーサーが本屋の店員に破れた分の弁償をすると言えば、

「大丈夫です。もしもの時のためにっておじさんからお金を持って行くように言われていたので」

私が払いますと名乗り出た椿を見てモリーとナルシッサが色めきだった。

「まぁ!ウメナミにそっくり!」
「よく言われます」

「セブルスが放っておかないんじゃない?」
「とても可愛がってくれています」

「俺っていったい・・・」

落ち込んでいる蘭樹には誰も声をかけなかった。

「今年入学なの?うちのジニーもよ、仲良くしてあげてね」
「ドラコは二年生なの。分からない事があったら何でも聞いて?」

「ありがとうございます。よろしくねジニー、ドラコ」

今まで無表情だった顔に笑顔を浮かべれば、ナルシッサが興奮したように声を出して抱きついた。

「なんて可愛いの!もううちの子にならない?」
「母上?!」

「ちょっと!うちは自由恋愛なんですけど!」

立ち上がった蘭樹にアーサーとルシウスが近づいて声を潜める。

「で?本当の理由はなんだ」
「まさか、さっきのが本当の理由じゃないだろ?」

「わーお!さすが竹馬の友」

ニヤッと笑って蘭樹も声を潜めた。

「来年、トムがホグワーツに入学する」
「「は?!」」

「大丈夫だって!淋しくねぇ様に校長にも頼んである。梅並も今年から行くしな」
「な!聞いてないぞ!」

理事の私に話が通っていないのはどういうことだと言えば、それは変だなと首を傾げた。

「教師が増えるって連絡したって言ってたけど」
「それはDADAの教師が去年でやめたからっ、あの狸爺!」

「それこそ俺じゃねぇじゃねぇかよ」
「君がもっと早く知らせていれば済んだ話だろ!?」

「それはすみませんでした」
「お前まだ何か隠してるな」

「私も同意見だ。モリー!子供たちの事を任せた!」
「シシー、ドラコとの買い物を頼む。ドラコ、私は急用ができたから買い物はここまでだ」

今度また連れてくると言って、二人は両脇に蘭樹を抱えて歩き出す。

「椿!パパは久しぶりに会った友達と一杯ひっかけながら話してくるから!!」
「買い物を済ませたら漏れ鍋で待ってるわ」

「こんな昼間から酒を飲むな!」
「私たちも飲むつもりはないよ!」

「なんだよ友達がいのねぇ奴らだ!そうだ!ルシウスとアーサーの子供たち!今度うちに遊びに来いよ!!」

はっはっはと笑いながら引きずられていく蘭樹を、手を振りながら見送る娘とその家族。

「大丈夫?一人で買い物なんて大変でしょ?」
「大丈夫です。あとは教科書だけなので」

モリーもナルシッサも笑って椿の頭を撫でると、互いに笑顔で背を向ける。

「ドラコ、どの買い物が残っているか見せて?」
「みんな、アーサーが戻ってくるまでに買い物を済ませてしまいましょう」

行くわよと声をかけるその顔には笑顔が浮かんでいて、目にはやる気とも言える強い炎がランランと輝いていた。


「母上、さっきの男は誰ですか?」

ドラコが母を見上げて尋ねれば、笑顔を深めて自分を愛おしそうに見つめてくる。

「お父様の古い友人よ」
「友人?」

「ええ、殴り合えるほどのね」

それはどんな友人なんだと顔をしかめるが、母は楽しそうに笑うばかりだ。

「これから騒がしくなるわ」

そう言って薬学用の新しい鍋を買いに店へ向った。


「ママ!さっきの誰!?」
「パパが人を殴るなんて、初めて見たよ!」

「ママもだけどね」

モリーはたくさんいる子供たちから質問攻めだった。
とりあえず本屋から出て歩き始める。

「あの人はアーサーの親友よ。私も昔から知ってるわ」
「さっきの騒ぎは!?」

「親友と会ったら殴ったりしないよ!」
「それは、相手がランジュだもの。仕方ないわね」

「「どういうこと!?」」

双子のハモリに苦笑して、慈愛に満ちた目で子供たちを見回す。
それは自分の子供だけではなく、ロンの友人であるハリーやハーマイオニーにも向けられた。

「ランジュの事はあなたたちも知ってるわ、魔法界を救った英雄よ」
「英雄(ヒーロー)?」

首を傾げるジニーに、ロンが驚いたと言う様に口を開いた。

「英雄って、例のあの人を倒した人って事!?」

その言葉に全員が目を見開いてモリーを見る。

魔法界を救った英雄。
その人の事はみんなが知っているのに、誰も知らなかった。ダンブルドアが世界中に口止めをしたのだ。

その人を探してはいけない。
そして、感謝を忘れてはいけない。

「ランジュは間違いなく英雄だけど、トラブルメーカーでもあったわ」

アーサーとルシウスはいつもそれに巻き込まれてたと、昔を懐かしむように微笑みを浮かべる。

「ちょっと待ってよ!マルフォイは純血主義なんだよ?!英雄は血に関係なくみんなに優しかったって言ってたじゃないか!」
「あら、ルシウスは確かに純血主義だけど悪い意味じゃないわよ?」

「どういうこと!?」
「っていうか!なんでさっきからそんなに親しそうなの!?」

「もう!話は帰ってからにしましょう!今は買い物が先よ」
「「そんなのないよ!!」」

もっと話してと文句を言う子供たちを諌めながらジニーの杖を買うためにオリバンダーの杖屋へ入って行った。
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