ハリー・ポッター(夢)

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「ルシウス!久しぶりじゃないか!」
「アーサー」

親しそうに握手を交わす二人を見るのはその子供たち。

「あれマルフォイじゃないか?」
「本当だ、学校の理事だろ?」

なんでパパと知り合いなんだ?と首を傾げるのは赤毛の双子。
それと同じ疑問を持っているのはこちらも赤毛の男の子と女の子。
そして丸眼鏡が特徴の男の子とくせ毛が可愛い女の子。

「アーサーも新学期の教科書を揃えに?」
「ああ、一番下の子が今年入学なんだ。それにロンの友人がマグルでね。そのご両親を案内していた」

「そうか、君も相変わらずだな」

本屋の前で話している夫婦を見てアーサーに笑いかけるルシウスは、魔法界でも有名な純血主義だ。
それは息子にも受け継がれているようで、プラチナブロンドの男の子がロンと呼ばれた男の子たちとにらみ合っている。

「あれから連絡はあったかい?」
「いいや、先日ダンブルドアにあったが、その時も何も言っていなかった」

「・・・そうか」

悲しみをこらえるように笑い合う二人。
それを見て首を傾げている子供たち。

「子供たちからホグワーツの事を聞く度、昔を思い出すよ」
「ああ、私もだ」

互いを慰め合う様に肩を叩いている二人の空気はとても重い。

そんな二人に場違いな程明るい声がかけられた。

「あれ、ルシウスにアーサーじゃねぁか!久しぶりだなぁ!!」

その声で弾かれたように顔を上げた二人は、自分たちに手を振っている一人の男を見て目を見開いた。

「「蘭樹!?」」
「よぉ!しばらく見ねぇ間にお互い老けたなぁ!」

はははと笑っているその人は二人の肩をバシバシ叩き再会を喜んでいるようだった。
それを呆然と見ている二人を置いて。

「な、なぜお前がここにいる!?」
「いつ起きたんだ!?」

「いつって、あれから二年くらいですぐ起きたぜ」
「「二年?!」」

開いた口がふさがらない。
そんな顔で叫んだ二人に周囲の目が集中した。

そして、二人が付き出した拳によって吹っ飛んだ男、蘭樹の姿に悲鳴が上がる。

「おぶっ!」
「お前!」

「連絡もよこさないで!」

声を荒げる二人は蘭樹を立たせて詰め寄っていく。

「ちょ、そんな怒んなよ」
「これが怒らずにいられると思うか!??」

「私たちがどれだけ心配していたと思うんだ!」
「ごめ、ごめんって!」

慌てて謝り出す蘭樹だが、二人はそれでも怒りが収まらないらしい。

「今まで何をしていた!」
「何って、当主としてみんなと酒飲んで親睦を深めたり、いろいろ」

「私たちに手紙を書くくらいできただろ?!」
「そうなんだけどよ。そうこうしてる内に椿がでかくなってきて、なら入学する時に驚かせっかなって」

「ツバキ?」
「おお!俺の可愛い娘!」

蘭樹が示す先には、こちらを見ている可愛らしい女の子が一人いた。
二人はその子を見て目を見開き、かかんで更に顔をよく見ようと覗き込む。

「梅並にそっくりだ」
「よく言われます」

初めましてと頭を下げるのを見て、

「礼儀正しい子だ。蘭樹よりも梅並の子になった方がいいな」
「その方がこの子のためだと思うよ」

「それもよく言われます」
「こらこら!何言ってくれてんだよ!」

椿も何そんな悲しい事言ってんの!?と騒げば、ふと目に入ったものを追う様に顔を上げた。

「おい、あそこにいる赤毛って、もしかしてアーサーの子供か!?」

めっちゃいると嬉しそうに声を上げる蘭樹をアーサーが殴った。
驚きで口を開ける子供たち。

「君が起きたら私たちが幸せで暮らしていると知らせたくて頑張ってきたんだ!」
「ありがとうございます!」

「パパが殴った!?」

礼を言いながら吹っ飛ぶ蘭樹の胸倉をつかんだのはルシウス。

「ドラコが生まれた時私がどれだけの喜びとお前への悲しみにくれたと思ってる!」
「ドラコ?」

胸倉を掴まれたまま顔を周りにむけ、自分たちを見上げているプラチナブロンドの少年を見つけた。

「ぶはっはっは!!すげぇ!ちっこいルシウスじゃねぇか!!」
「お前ならそう言って喜んでくれると思っていた!!」

「その通りです!」

吹っ飛んで本に突っ込んだ蘭樹を見ながら肩で息をしている二人を見て、子供たちは更に訳が分からなくなっていた。
二人とも怒っているのに、口から出てくるのは全て蘭樹に対する再会の喜びばかり。

「アーサー!?何やってるの!?」

本屋の中から騒ぎを聞きつけて出て来たのはアーサーの妻であるモリー。
やって来たモリーを見て、アーサーが抱きしめた。

「蘭樹が帰って来たんだ!」
「え!?」

目を見開いて、崩れた本の中から出てきた男を見る。

「本当にランジュなの!?」
「モリー?おお!安心するお母さんって感じになったな!」

想像通りだと笑顔を向けてきた蘭樹に駆け寄り、

「今までどこをほっつき歩いてたの!!」
「モリーまで!?」

「ママも殴った!!」

よろめいている蘭樹を前に涙目になっているモリー。

「ドラコ、ここで待っていなさい。私はシシーを連れてくる」
「は、はい」

声が裏返ってしまったが、それを笑うものはここにはいなかった。

「あなたの事を聞いた時!私がどれだけ心配したと思ってるの!?」
「アーサーも同じこと言ってた」

「当たり前よ!あなたから連絡が来ないか毎日待ってたんですもの!」

ビルももう立派に独り立ちしたのよと泣きながら叫んでいれば、バシッと音がしてルシウスと美女が現れる。

「シシー!?お前年とっても美人だな!」
「あなたっ、今まで連絡をよこさなかったって何考えてるの!?」

「まさかのボディ!?」

キレイに鳩尾に決まった拳を震わせながらナルシッサが声を上げる。

「あの後ルシウスがどんな顔で帰って来たか!あなたに想像できる?!」
「す、すいません」

腹を抑えて地面に倒れたまま謝り、自分の娘に向き合う。

「椿、お父さんを助けて」
「仕方がないわ。おばさんもこうなるって言ってたもの」

「マジか」
「そうだ!梅並たちは知っていたんだろ!?何も聞いていないぞ!!」

「お父さんが口止めしていたので」
「だからいつも申し訳なさそうにしていたのか!!」

「いだだだ!!ストレッチマフラーはやばいって!!」

アーサーにかけられたプロレス技に悶えていれば、その技から解放したルシウスが口を開く。

「だからダンブルドアも知らなかったのか!?」
「え?校長には口止めしてねぇけど。一昨日も来てたし」

「あの狸爺!!」
「俺じゃねぇー!!」

卍固めを決められながら叫ぶ蘭樹。ルシウスが手を離すと力尽きたように倒れ込んだ。
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