ハリー・ポッター(夢)
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早くみんなに知らせなければ!
「行け!アーサーの所へ!」
フクロウを飛ばし、こちらを見て指示を待っている一羽のカラスに向い合う。
「すぐに蘭樹に知らせてくれ。これからホグワーツで戦争が起きる。あいつらだけは命に代えても守る」
だからお前は逃げろ。
それを聞いて一つ頷くとカラスは飛び立った。
早く、早く行かなくては。
「ルシウス!」
部屋を出ればすぐにシシーが来て縋り付くように手を伸ばしてくる。
「シシー、私はこれからホグワーツへ向う」
「っ」
「私に何かあったら木元の家へ行くんだ。行き方は分かるね?あそこなら安全だ」
「でもっ、あなたが!」
抱きしめてキスをする。
もしかしたら最後かもしれない。
けれど、思う事はいつもと同じ。
「シシー、キレイだ。愛してる」
自分の名を呼ぶ声には振り返らず急いだ。
あの学校には掛け替えのない友人がいるんだ。命に代えても守らなければならない、裏切るなんてできない一生の友が。
「なんて事だ!!」
「アーサー?」
ルシウスからの手紙を読んで立ち上がったアーサーはすぐに出かける準備を始めた。
「モリー、絶対外に出てはいけないよ!」
「何があったの?アーサー!」
「ホグワーツで戦争が起きる、闇の陣営が全総力を挙げて向っているらしい」
「そんなっ。待って!どこに行くの!!?」
「魔法省だ、闇払いを全員終結させなければ!」
言って、愛しい妻と子供を抱きしめる。
「私に何かあったら木元の家に行くんだよ。あそこは安全だから」
早く、早く。ルシウスが命がけでくれた情報だ。これを無駄にすることは出来ない。
あの学校には掛け替えのない友人がいるんだ。
私たちが過ごした時間も、これから過ごすだろう時間も、失うわけにはいかない。
守らなければならないものがあるんだ。
「ダンブルドア!すぐに学校を閉鎖してください!!」
ドビーに頼んでやって来たホグワーツ。
駆けこんだ校長室で、ダンブルドアに事態を説明する。
「なんと、どこでそれを?」
「全死喰い人に命令が下ったんです!」
「ルシウス、落ち着いて説明しておくれ」
頭に昇っていた血をどうにか止めて冷静になれと自分に言い聞かせる。
そして、私は卒業してから今までの事を話し出した。
死を覚悟して死喰い人になることを拒否したこと。なぜか卿に気に入られたこと。
その証拠は左腕に印がない事が証明している。
「父上は私が死喰い人だと思っています。だから私にも招集命令が来たんです」
「そうじゃったか」
頷いたダンブルドアはすぐに全教員と生徒を大広間へ集め出した。
私はとにかく梅並たちの顔が見たくて、すぐにでもここから逃がしたくて仕方がなかった。
見えてきた城に、口元が緩んでしまう。
「懐かしのホグワーツ城!」
俺様がキクオと出会った場所。
唯一本来の俺様を受け入れ、友と呼んでくれた男と過ごした学び舎。
「聞こえるかダンブルドア!!」
俺様の声は全生徒、職員の脳に響いているだろう。
「決着をつける時が来た!」
俺様はこの時を待っていたのだ。
キクオがやって来る時を。