ハリー・ポッター(夢)

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夏休みを数日後に控え、病院から連絡が来た。母さんが死んだらしい。

僕は訳も分からないまま、梅並が荷物を詰めたトランクを持って特急に乗り、病院へ向った。
その後の事はよく覚えていない。

気が付いたら家にいて、扉をノックする音が聞こえた。

「今出ます」

声を出せばノックが止んで、扉を開けると何かが勢いよく飛びついて来る。

「セブルス!よかった、家に居たんだね!」
「・・・梅並?」

どうしてここに?と聞く前に両手で頬を掴まれ、目を合わせられる。

「夏休みになってそのまま来たんだ。ちょっと痩せた?何も食べてないの?」
「夏休み、・・・もうそんなに時間が経ったのか」

数日間の記憶がない。
もしかしてずっと座っていたのだろうか。

そんなことを考えていると、目の前の顔が、目が、優しい色を帯びて真剣なものになる。

「君、泣いてないね」
「ああ」

「お母さんの顔は見れた?」
「ああ」

「セブルス」

一緒に居られなくてごめん。

謝る言葉に何か言おうとしたけど、口からは何も出てこなかった。

「私も病院に行っていいかな。君のお母さんに挨拶がしたいんだ」

自分の意思とは関係なく涙が流れていく。梅並の細い体に抱きついて、気が付いたらソファーの上で眠っていた。

「おはよう。気分はどう?」
「・・・スッキリしてる」

「それはよかった」

梅並が体を起こした僕と目を合わせる様にしゃがむ。

「勝手にするのはまずいと思ったんだけど、キッチンを使わせてもらったよ」

食事にしようと手を引かれてダイニングに入れば、美味しそうな料理が並んでいた。

「食べよう?」

促されるまま席に座って、二人で向かい合う。
梅並の料理はおいしかった。

「母さんたちから手紙が来てた。みんなもこっちに来たいって」
「構わない。部屋も好きに使ってくれ」

「お父さんは?」
「さぁな。母さんが死んで出て行ったんだろう」

梅並は一つ頷くだけでそれ以上聞いてこなかった。

食事を終えてから庭に陣を書くと言っていたが、僕がシャワーを浴びているものの30分でみんなが来ていた。

久しぶりに会う蘭樹も麻耶も変わっていなくて安心した。

みんなで病院に行って手続きを済ませ、母さんを埋葬する。
家を好きに使ってくれて構わないといったけど、そのまま陣を使って木元の家へ行った。
使い慣れた布団で眠り、目が覚めたら隣に梅並がいて手を握っていてくれていた。

「おはよう、セブルス」
「ああ、おはよう」

また泣いてしまったけれど、悲しみだけの涙じゃなかった。

それからはすごかった。
蘭樹が知らせていたみたいでアーサー先輩とルシウス先輩たちがやって来て、なぜかモリー先輩が僕よりも泣いていた。
ちなみに、ビルという長男を抱えてやって来た。

桜花と桃花も仕事を休んで駆けつけてくれたし、リリーやクィレルにレギュラス、そしてなぜかペティグリューから手紙が来た。

今年は強化合宿を取りやめにしようと言われたけど、僕がそれを止めた。今年で最後なのだ。やめないで欲しかった。

それに、思いっきり泣いてすっきりしたのか差ほどショックを引きずっていなかった。

掃除やら整理やらをするために陣を使って家に戻り、ダイニングへ入って思い知る。
ここで食事をしたのはいつも一人でだった。
過去を振り返ってみても母さんや父さんと食卓を囲んだなんて思い出は出てこなくて、誰かと食事をしたのは梅並が初めてだった。

キレイに片づけられたキッチンはそこだけ別物の様で、意味もなく壁に寄りかかって眺めていた。
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