ハリー・ポッター(夢)

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「ウメナミ、おじいさんがやってたあれ、お札とは違うのか?」
「別物だよ。あれは式神っていうんだ」

梅並の部屋でフカフカの布団を床に引いて行く。
これが日本式らしい。

僕は夏休みが始まってすぐ、梅並の家へ向った。

飛行機というマグルの乗り物に乗らなければならないとの事で、トランクに荷物を詰めていく。

「終わった?じゃぁ兄さんの所に行こう」

リュックはトランクと一緒にしないでねと言われ、蘭樹とルシウス先輩の部屋へ行き中に入れてもらった。

床には大きな白い紙が敷かれていて、手持ちのリュック以外を全部その上へ乗せる。
すると何も書かれていなかった紙に文字が浮き上がり、次の瞬間にはもう荷物はなくなっていた。

「今のは?」
「別の場所にある空間同士を繋げる技だよ」

こっちで言うポートキーのようなものかと聞けば、違うけど似たようなものだと言われた。

どっちだ。

「この半紙の中だけ、別空間にできるんだ」

本来は紙ではなく地面に直接書くんだそうだ。
ホグワーツではそれができないから紙で代用しているらしい。

「人も送れるから姉さんたちはこれで先に帰るって」
「駅からは俺たち三人だからな。飛行機にはしゃぎまくっていいぞ!」

「二人とも、ランジュの世話は大変だろうが頑張りなさい」
「どういう意味だ」

ホグワーツ特急ではなんでも部の五人で座って夏休みの話をしていた。
桜花と桃花はそれぞれ好きな人と一緒に座ると言って探しに行ったっきり帰ってこなかった。

駅について、戻ってきた二人の向こうで友人だろう生徒に支えられているクィレルとペティグリューを見たような気がしたけど、深くは考えないことにした。

それが一番いいと本能で分かった。

「本当に飛行機で帰って来るの?」
「あんたたちも物好きねぇ」

呆れたように見てくる二人に蘭樹はため息を吐く。

「分かってねぇな、こういうのは旅を楽しむ醍醐味だろ」
「「時間の無駄使いじゃない」」

「その無駄が楽しいんだよ」
「「変なの〜」」

そう言って、また後でねと手を振っていなくなった。

「ホント、女ってわかってねぇな」

そう呟いて、ルシウス先輩とアーサー先輩に別れを告げて空港へ向う。
空港にはいくつもの飛行機が飛んでいて、あんなに大きな乗り物が空を飛んでいる事にも(ホグワーツ特急は別として)、それが魔法ではない事にも驚きだった。

無事日本へ着いたら蘭樹たちの父親がいて、車で家へやって来た。

梅並の父親は大きくて筋骨隆々、豪快なところが蘭樹とそっくりだ。
母親は優しくて華奢な人だった。

どうやら梅並はおばさん似らしい。

後はおじいさんとおばあさん。この二人は貫録のある人たちだ。

元々家族が多いからなのか、僕が一人増えてもあまり気にしている様子はなかった。
というか、山奥にあるこの家には他にも家族がいるらしい。

「明日は森に行こう。帰ってきたってみんなに言いたいし、セブルスの事も紹介しなきゃ」
「生きて帰ってこれるか不安だ」

梅並の言う他の家族とは、森に住んでいる動物や妖怪たちの事だと、さっき夕食の席で聞かされた。

「大丈夫だよ、みんなうちの人間は襲わないんだ」
「そうなのか?」

「うん」

木元家のご先祖様が森のみんなと契約を交わしたのだと言う。
人間の手からこの山を守り、時々酒を持ってくるかわりに子子孫孫まで見守る様に。

「それは契約なのか?」
「さぁ?私には仲のいい友達と約束したようにしか聞こえないけど」

「・・・」
「変わり者だったみたいだよ。うちのご先祖様」

「みたいだな」

明かりを消して布団に入る。
柔らかい布団からはいい匂いがして、あんなに緊張して興奮していたのにすぐに眠ってしまった。
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