ハリー・ポッター夢(子世代)
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夏休みが終わりに近づき、スネイプがホグワーツへ戻ってきた。
「私に助手は必要ありません」
「それは残念じゃ」
校長室へやって来たスネイプの言葉に、全く残念そうじない顔でそう答える。
「して、休暇は満喫できたかの?」
「・・・不本意ながら」
「何よりじゃ。わしも古い友人に会っての」
楽しいひと時を過ごせたと笑顔で言って、その視線をスネイプの左手へ向けた。
「わしに何か報告でもあるのかな?」
「報告するほどでもありませんが、礼儀としてお伝えいたします」
結婚をしたと言えば、ダンブルドアの青い目がキラキラと輝き出す。
「なんと!喜ばしい事じゃ!して、式はいつかの?」
「式を挙げるつもりはありません」
お互い忙しい身ですのでと、本当に結婚したのか聞きたくなるほど眉間に皺を入れて答える。
そんなスネイプの表情を見ても嬉しそうに、というか楽しそうに笑顔を向けてくる青い目がさらにスネイプの機嫌を悪くさせる。
「休みが終わったら皆に報告せねば」
「お断りいたします」
そんな報告を大勢の前でされてたまるかと睨めば、ほっほっほと笑って髭を撫でた。
「わしももう少し校長を続けてみようかのう」
校長の席を譲るのは君の子供が入学してからでもいいと言う言葉を最後に退室した。
新学期が始まり、組分けが終わった大広間で食事をしているとルーピンがスネイプを見て目を見開いた。そして、
「セブルス!君っ」
「食事中だ。座りたまえ」
「そんなっ、僕は認めないよ!!?」
「何を言っているのか分かりかねますな」
いきなり騒ぎ出した職員席に生徒たちの視線が集まる。
「この指輪!ウメナミがいるのに婚約するなんて!!」
そんなのあんまりだと叫べば、生徒たちだけでなく教師たちからも鋭い視線が飛んでくる。
「私がいつどこで誰とどうなろうが貴様には関係のない事だ」
「ないよ!でもウメナミの事は別だ!!」
「なぜウメナミだと関係があると?」
不愉快極まりないという顔をしているがルーピンも負けてはいない。
「僕はウメナミを妹のように思ってる!」
「あいつは貴様を好いてはいない。勝手なことを言うな!」
テーブルを叩きながら立ち上がったスネイプに、生徒たちが飛び上がった。
「ウメナミはそう思ってなくても僕は思ってるよ!あんなに尽くしてたウメナミをっ、君はなんだと思ってるんだ!!」
「その事についても貴様にとやかく言われる筋合いはない!!」
今にも殴り合いを始めそうな二人の間に慌てて入ったのは、薬草学の新しい助手。
「ルーピン先生!落ち着いてください!」
「落ち着いてなんかいられないよネビル!」
「ロングボトムそこをどけ!」
「スネイプ先生の結婚相手はウメナミですよ!」
拳を振り上げたルーピンに焦って叫べば、シーンと静まり返る大広間。
タラリと頬をつたう冷たい汗をぬぐう事も出来ずにいれば、
「ミスター・ロングボトム」
ねっとりとした猫なで声と共に肩に手を置かれた。
「なぜ貴様がそれを知っている」
「あ、あの、」
「正直に答えたまえ」
振り返ったのが悪かった。
瞳の奥が燃えているスネイプにはとても逆らえない。
言わなくても開心術をかけてきそうな雰囲気だ。
「、ウメナミから手紙が、」
「手紙?」
「け、結婚おめでとうございます」
怯えながら言うネビルのローブから見えている白いものを取り上げて広げる。
「ちょっ」
「人の手紙を見るなんて!」
「なんだと!?」
手紙を奪い返そうとするネビルと、勝手に手紙を読みだしたスネイプを咎めるルーピン。
しかし、手紙を読んで表情を変えたスネイプにルーピンも奪い取って読み出した。
「子供!?」
「なぜ貴様が私より先にその事をっ」
「休暇で帰ってきた時に驚ろかすって書いてありました!」
掴み上げたネビルを突き飛ばして走り出す。
「どこ行くの!?」
「私は帰る!」
「ええ!?」
「僕も行く!」
「ついて来るな!誰が貴様など連れて行くか!!」
ルーピンとスネイプの言い争う声が遠のいて行くのを聞きながら、床に投げ出されていたネビルが呟く。
「ごめんって手紙書かなきゃ」