ハリー・ポッター夢(子世代)
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「この穢れた血め!」
ドラコ・マルフォイがハーマイオニーにそう吐き捨てた。
その言葉に批難の声を上げる周囲。
魔法が逆噴射したロンを意地わるく笑っていたドラコが、吹っ飛んだ。
「もっぺん言ってみろクソガキ!!」
批難の声が悲鳴にかわるそこで、蘭樹の声が響く。
何が起きたのか分かっていないドラコの胸倉を掴んで力任せに引き起こし、怒りに満ちた瞳で睨む。
「汚ねぇのはてめぇだろうが!!」
「ひっ!」
「ランジュ!何してんだ!」
「ああ?!躾だ!」
スリザリンのチームメンバーがドラコに掴みかかっている蘭樹を止めようと手を出すが、蘭樹があまりにも恐ろしく誰も止める事が出来ない。
「てめぇの血がどんだけキレイか見てやるよ!」
振り上げた拳をドラコの鳩尾にめり込ませ、倒れ込んだところを蹴り飛ばす。
「俺の前でもう一回でも言ってみろ。その誇り高い“純血”を全部吐き出させてやるからな!!」
動くこともできないドラコにそう吐き捨てて、なめくじを吐いているロンに近づいて行く。
「ま、待ってください!」
四つん這いになっているロンの背中に向かって手を振り下ろそうとしている蘭樹に慌てて声をかけるが、先ほど見てしまった暴力の恐怖から声が上ずる。しかし、
「安心しろ。全部吐き出させるだけだ」
優しくそう言って、手のひらでロンの背中を一発叩いた。
「うえぇー!!」
今までの比にならないくらい大量になめくじを吐くと、げほげほと咽ながらその場に座り込む。
だが、もうなめくじを吐いたりはしなかった。
「大事なシーカーを医務室に連れてかなくていいのか?」
俺はそいつを連れて行く気がねぇぞとクィディッチチームの面々を見て、ハーマイオニーの頭をポンと撫でて歩き出す。
「また言われたら俺に言え」
ニカッと笑って、どこかへ消えて行った。
「「ふ〜!!」」
「ランジュかっこいい!」
「さすがランジュだ!!」
蘭樹のいなくなった方向を見ながらハイタッチするフレッドとジョージ。
ハリーもハーマイオニーも、もちろんロンも。ぽかんと口を開けてそれを見ていた。
「いつの間にランジュと仲良くなったんだ?」
ウッドがハーマイオニーに聞けば、放心状態からやっと我に返って首を横に振った。
「あ、あの人じゃなくて、ウメナミが、友達でっ」
「ああ、なるほど」
納得したのか頷いていると、騒いでいた双子が周囲に向かって声を張り上げる。
「ハーマイオニーに手を出すなよ!」
「ランジュが自ら両親に挨拶までしたんだからな!」
「ちょっと!」
「「キモト家の鉄槌が落ちるぜ!!」」
双子を止めようとしているハーマイオニーだが、二人はそんな事気にしていない。
後から聞いた話では、立ち入り禁止の森へ一人で入って薬草を取ってくるという罰則がくだったそうだが、蘭樹はそれを難なくやり遂げたのだと言う。
「またランジュに逆らう奴がいなくなったな」
「よく言うだろ?」
「「眠っている竜はくすぐるべからずってね!」」
前にもこんな騒ぎが何度かあったのだと、グリフィンドールで呆然としながら話を聞いた三人だった。