ハリー・ポッター夢(子世代)
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ハリーたち三人はスネイプを怪しんでいた。
だから、その後を梅並がついて歩いているのが信じられなかった。いくらスネイプは危ないと言っても、優しい人だよと微笑むだけで離れようとはしなかった。
ハーマイオニーはもちろん、ハリーとロンもじれていた。
どうしてあんな陰険教師を優しいなんて言えるんだと憤りを感じていた。
「ノーバート?」
ハグリットの小屋へ行くとドラゴンの赤ちゃんが生まれていた。
ドラゴンの飼育は法律で禁止されている。それを何度ハグリットに言っても聞いてくれない。だが、ばれるのは時間の問題。
ロンはドラゴンの研究をしているビルに連絡を取った。
「ドラコ?どうしたの?」
朝から機嫌の悪いドラコの元へ届いた罰則の手紙。今日の夜、罰則が行われる。
「最近の森は、なんだかざわついてるね」
「え?風が強いのかな?」
「うん。きっとそうだね」
本を読んでいたネビルは顔を上げて梅並を見る。
その顔は開いた本に向けられてはおらず、窓のむこうにある暗い森を見つめていた。
「ウメナミ?」
「うん?」
「・・・ううん。なんでもない」
ネビルはこの不思議な友達が大好きだった。
時々不思議過ぎて何を考えているのか分からなくなってしまうけれど、それでも静かで優しい友人が大好きだった。
自分を認めてくれる数少ない人でもあった。
「ネビル。夜は部屋を出ちゃダメだよ」
「当たり前だよ。怒られちゃうもん」
言えば、笑顔を深めて見返してくる。
「ネビルは優しいね」
クスクスと笑って、読みかけの本へ目を戻した。
罰則が行われる禁じられた森の中。
ハリーたちはケンタウロスに出会った。空を見上げて何か話しているが、その内容を理解はできない。
「空に輝かない星がある」
「輝かない星だ。あんなに光を集めているのに」
「このまま輝かず終わるつもりだ」
「ああ、それを望んでいる」
なんて珍しい星だろうと空を見上げるケンタウロスたちにハリーは首を傾げた。
だがハグリットは夢想家なんだと、森の奥へ入って行く。
空に花火が打ち上げられ、ハリーとドラコはファングとその場にとどまった。
そして、ユニコーンの血をすすっている何かと出くわした。
襲いかかってくる何かに逃げるドラコとファング。一人残されたハリーの前にできたのは、青白い壁。
前に二回程見たことがある壁だった。
「封」
白い紙が飛んできて、黒い何かを吸い込んでいく。
青白い壁から出ようとすると、ケンタウロスがやって来た。
「ハリー・ポッター。君は今動いてはいけない」
「、どういう、ことですか?」
黒い物が悲鳴を上げている様にさえ見える。
「ホグワーツで今、何が起こっているか知っているかい?」
フィレンツェは青白い壁に触れて微笑む。
「多いなる災いから君たちを守るために、強大な力が動いている」
この守りもその一つだと、壁から手を離すと跡形もなく消えてしまった。
見れば、あの黒い影も無くなっている。
「ハリー!!」
やって来たハグリットを振り返り、もう一度フィレンツェを見上げた。
「どうか、輝かない星の光を疑わないで欲しい」
黒い目を疑わないでと言って、森の奥へ消えて行った。
「黒い目って何のこと?」
「分かんない。でもそう言ってたよ」
「大体“輝かない星の光”って、まずそんな星見つけることができないわ」
「あいつらの言ってることって意味不明だよな」
ハグリットが夢想家って言ってたのが分かるよと、三人で校庭を歩く。
「でも、あの時ウメナミが森に居たのは確かだよ!」
あの時自分を守った青白い壁は梅並が使っていたものと同じだったと主張すれば、ハーマイオニーが顔を少ししかめた。
「ウメナミとは限らないわ。だってあの術はキモト家特有の東洋魔術なんですもの」
もしかしたら兄の蘭樹かもしれないとロンが口を開いた。
「フレッドたちが言ってたよ。ランジュはよく森に行くって」
「それって校則違反よ?」
「あのランジュが校則なんか気にすると思うの?」
スリザリンだろうがなんだろうが、気に食わないと思ったら気に食わないとはっきり言う。
甘い顔をするのは友人になった者か家族にだけ。
「ウメナミもそういうとこあるだろ?」
「そうだけど・・・」
ならなおさら自分を助けたのは梅並だとハリーは言う。
「僕はウメナミと親しくないけど、ハーマイオニーはウメナミの友達だ。授業中も、だから助けてくれるんだ」
スネイプにいびられている時の事を思い出して言えば、確かにと二人も納得した。
「ウメナミって、不思議よね」
「それを言うならキモト全部に言えることだよ」
「同感」
レイブンクローの女王様たちの事を思い出して頷いた。
クィレルに迫っている双子の一人、桜花の事はみんなが知っている。
その桜花から逃げているクィレルを見て笑う者や顔をしかめる者、理解できないと無視を決め込む者。
中にはクィレルがいつまで耐えられるか賭けをしている者までいる。