ハリー・ポッター夢(子世代)
□2
1ページ/3ページ
「ハーマイオニー」
今、梅並は女子トイレにいる。
「ぐす、ウメナミ?」
「うん、さすがハーマイオニー」
涙に濡れたかすれ声で返事をしたハーマイオニーに、見えていないと分かっていて笑顔をむける。
「どうしたの。そんなに嫌なことがあった?」
「、ほっといて」
「それは難しいな」
梅並は扉に手を添えて変わらず笑い続ける。
「友達が泣いているのは、とても悲しいよ」
私まで泣いてしまいそうだと言うと、ハーマイオニーが扉を開けて抱きついて来た。
「私っ」
「うん」
ハーマイオニーが落ち着くまで優しく頭を撫で続け、何があったのかを静かに聞く。
「大丈夫だよ。ハーマイオニーの優しさはゆっくり伝わっていく物だから」
君はこれからその人たちと分かり合って行くんだよと、諭すように語りかける。
「ありがとう、ウメナミ」
「君は私の友達だからね」
泣き顔なんか見たくなよと微笑みかけて、大広間へ戻るのもあれだからこのまま寮へ行こうと歩きだせば、そこに現れたのは巨大なトロールだった。
悲鳴を上げるハーマイオニーを背に庇い、前にネビルを助けた時と同じように青白い球体が二人を包み込む。
その球体がトロールの棍棒を数発防いだ時、ハリーとロンがやって来た。二人のおかげで何とか被害が出る前にトロールを倒すことができ、
「ありがとう、二人の御かげだよ」
笑顔で礼を言われた二人は顔を見合わせて赤くなる。
中性的な可愛い顔は男にも女にも見えて、声変わりも済んでいない高い声は女の子と言われても信じてしまうだろう。
そんな四人の元へやって来たのは三人の教師と、
「「「梅並!?」」」
三人の生徒。
「「心配したのよ!?!」」
「全然もどってこねぇし!」
無事でよかったと、なすがままでもみくちゃにされている梅並を見て呆れている教師たちと、呆然と口を開けている子供たち。
「どこも怪我ねぇか!?」
「大丈夫だよ。壁を作ってたし、二人が来てくれたしね」
ほんのり笑ってまた礼を言われた。
ハーマイオニーと梅並は減点され、ハリーとロンは加点された。
梅並は申し訳ありませんとスネイプに頭を下げ、蘭樹に手を引かれるまま寮へ戻る。
次の日、梅並はスネイプの研究室を訪れていた。
「先生、足の具合はどうですか?」
なぜそれを知っていると声を荒げたスネイプに、ニコリと笑って近づいて行く。
「昨日見えたので」
治療は済みましたか?と聞き、無言で睨んでくるスネイプに笑顔を深める。
「座ってください」
包帯を巻いて術をかけますと、無理やり座らせて裾をまくった。
梅並の手際は目を見張るものだった。どこで習ったと聞くと、
「兄がよく怪我をするので」
気が付いたらできる様になっていましたと、巻終えた包帯の上からお札を一枚張った。
「それは?」
「おまじないのようなものですよ」
これを張れば治りが早まりますからとほんのり笑って、薬の調合をしてもいいかとスネイプを見上げた。
「ウメナミは、ニコラス・フラメルって人知ってる?」
図書館で本を読んでいる梅並に聞いてみた。正直ダメ元だったのだが、
「知ってるよ」
梅並から返ってきた返答はイエス。
目を見開いて誰?!と詰め寄ってくるハーマイオニーの友人たちに笑って、以前読んだ記憶を手繰り寄せる。
「錬金術師だよ。確か校長先生の知り合いで、賢者の石を作った人」
「ダンブルドアと知り合い!?」
「うん。記憶が間違いじゃなければね」
ほんのり笑って、その情報が書かれている本を教えてくれた梅並に礼を言い、図書館の奥へと隠れた。
さっそく教えられた本を開いて読んでいく。
「ウメナミって変わってるよな」
誰にでも優しいし、寮や血で人を差別しない。なのにスリザリン。
「とてもいい人よ。深く聞いてこないし、ウメナミは人間ができてるわ」
「ネビルとも仲がいいしね」
棚からこっそり顔を出すと、図書館へやって来たネビルと何か話して笑っていた。
「ねぇ、ウメナミならあの犬をどうにかできるんじゃないかな?」
「できたとしても、頼っちゃダメよ」
巻き込むわけにはいかないわと、本に書かれているフラメルの情報と梅並の言っていた事を照らし合わせ、あの三頭犬が守っている物が何かを探り当てた。