ハリー・ポッター2(夢)

□1
1ページ/3ページ



「は、ぁ、セブルス」
「辛いか?」

「うん、少しね」

ホグワーツで過ごす最後の日、共に過ごした寮の一室で二人は結ばれた。
セブルスは女性の裸を見るのは初めてだったし、梅並も誰かに体を触らせるのは初めてだった。

お互い手探りで繋がり、そのままキスなどをして静かに抱き合っていた。

「辛いけど、それ以上に、嬉しいよ」

見上げてくる梅並に、セブルスの鼓動が早くなる。

「どうかしてるって、思ってくれていいから」

涙でキラキラと黒い目を輝かせて、セブルスの存在を確かめる様に頬を撫で、唇に指で触れる。

「君が好き過ぎて、おかしくなりそうだっ」
「、」

その言葉に、欲望を押さえつけていた理性が焼切られていく。

さっきまでは優しく触れるようなキスだったのに、今は梅並を食べるつもりなのかと言いたくなるほど口を開いて舌を絡めている。

「僕はもう、おかしくなってるっ」

動く度に眉を寄せて苦しそうにする梅並にさえ気を遣えない。
ただもう、がむしゃらに腰を叩きつけた。


無事にみんなと卒業して、研究をしながら『風来坊』を開いた二人。

毎日が幸せだった。

ソファに座って二人で一冊の本を読み、書かれている事を羊皮紙に書き写しながら次に作ろうとしている脱吸血薬について語り合う。
材料が少なくなってきたら木元の森へ行って取って来たり、ノクターン横丁で買い物をして来たり。
一緒に料理を作って、時々戯れのようにキスをする。

毎日が幸せだった。


だが、セブルスは時間が経つにつれて悶々としていく事が多くなった。

「どうしたの?」
「いや、満月が近づいてきたらか、そろそろ脱狼薬を作り始めるかって考えてた」

「そうだね。うちの目玉商品だし、ここの所注文が多くなってきたし」

早めに作って置いた方がいいねとほんのり笑って朝食を再開する。
細い指がフォークを持つのを見て、喉がなりそうになった。
実は、セブルスの家に来てから二人はそう言う展開になった事がない。
元々が親友だっただけに、どうすればいいのか分からなかったのだ。

もちろん、体の繋がりが目的で付き合ったのではない。

だが好きな人が目の前にいて、相手も自分を好きだと分かって、木元のみんなにも祝福されていて、美しい梅並を抱きたいと思うのは極自然な事だった。

「う」
「あれ、誰のフクロウだろ」

外を見て首を傾げ、立ち上がって窓を開ける。
セブルスは額に手を置いてうなだれた。
何も今のタイミングで来なくていいだろ。
どこの誰だよと窓ぶちに止まっているフクロウを睨めば、お前の都合なんて知らねぇよと言う様にホーと鳴かれた。

「T.B.B様、『風来坊』にだ」
「薬の依頼か?」

でもここの住所を知ってるなんておかしいだろと、セブルスも怪訝な顔をして立ち上がる。

梅並とセブルスが始めた『風来坊』。
その正体を知っているのは木元家となんでも部のみんなだけだ。
自分たちの名前も明かす気がなかったのでT.B.B(二人・コウモリ・梅)と言う偽名を使っていたのだが、

「これ、魔法省の闇祓い局からだ」

どういう事だと二人で顔を見合わせて、呪いがかかっていないか、本当に魔法省からかを確かめて封を開いた。

「薬の解析依頼?秘密裏に?」
「姉さんたちのサインが入ってる!」

「二人の単独って事か?」

フクロウが早く受け取れと片足を上げて差し出して来た小さな箱の中には、その箱に相応しい程小さなビンが一つ入っていた。

「極秘裏って、外部に漏らしちゃってる時点でダメだよ」
「魔法省の中で派閥でもできてるのか?」

「そう言えば、大臣が新しくなるって騒いでたっけ」

予言者新聞で読んだ事を思い出しながら二人で考えていると、いつの間にかテーブルへ移動していたフクロウが、これは俺が食って良いのかと言わんばかりに料理の前でこちらを凝視してきた。

「それは私たちの分だから、君のは別で用意するよ」

ふてぶてしいフクロウの背中を撫でて新しい皿に鳥の餌と肉を入れてやる。
もちろんゴブレットに水も注いで置くと、それでいいんだと言いたげに胸を膨らませてがっつき出した。

「誰のフクロウだ?」
「さぁ、誰だろ」

面白い性格してるねと笑っている梅並にため息を吐いて、桜花と桃花からの頼みなら断れないと小瓶を研究室として使っている部屋へ運んだ。

午前中の内に脱狼薬を作れるだけ作って、他の薬はストックがまだある事を確かめてから依頼された薬に取り掛かった。

「これ、惚れ薬かな?」
「後は、媚薬?でもおかしいぞ」

本来はこんな成分じゃないと二人で解析しながら、それが真実薬である事を突き止めた。

「出来の悪い薬をめちゃくちゃに混ぜったって感じだね」
「成分が変わって当然だ。どこのバカがやったんだ?」

「案外、新しい大臣に取り入りたいお偉いさんとかだったりして」
「一気に政府が信用できなくなった」

「同感」

うわぁっと二人で顔をしかめてビンに蓋をする。
使われている惚れ薬と真実薬がどれぐらい強い物なのかも調べるために、資料をあさったり実際作ってみたりしながら答えにたどり着いたのは丸一日経った後だった。

「じゃぁ、お願いね」
「ホー」

ふてぶてしいフクロウは偉そうに一声鳴いて窓から出て行く。

「奴隷にできる程の強力な惚れ薬に真実薬。気を引きたいどころじゃないな」
「裏で操りたかったみたいだね」

ルシウスさんも被害に合わなきゃいいけどと、あの戦争以来魔法省に影響力の強くなった先輩の身を案じながらブランチに手を付ける。

「ふぁ」
「一度寝たらどうだ?惚れ薬の解毒剤まで作ったんだ、疲れただろ」

「ううん、まだ片付けもしてないし、シャワーでも入って目を覚ましてくる」

欠伸をかみ殺しながらダイニングを出て行く梅並を見送って、パンを口へ放り込む。
それをミルクで流し込んで研究室へ向った。
片づけくらいいつでもできるのに、梅並は几帳面だと、以前とは比べられないくらいキレイになった家を見回してため息を吐く。

そういう所が好きだと思うあたり、自分が思っている以上に惚れているらしいとまたため息を吐いた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ