ブリーチ2(夢)

□カナ63
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「伊江村さーん!」

元気よく走って、名前を呼んだ相手に突進する勢いで抱きつく。
そんないつも通りの光景を影から見ていた女性死神教会のメンバー。

「よかった、仲直りできたんですね」

そう安堵のため息を吐いているのは七緒。

「心配したんだから」
「全くだ」

乱菊と砕蜂もそれに頷いて、笑っている小さな少女を見る。

昨日最後に見た華奈の表情は、死んでいた。
この世の終わりのような顔をして、伊江村について行ったその後ろ姿は、今にも消えてしまいそうだった。

いや、自害してしまいそうだった。

「・・・あの眼鏡の何がそんなにいいと言うのだ」
「砕蜂隊長」

咎める七緒も、心の中で同じことを思っている。
しかし、いつもはそれに同調する乱菊が、今日は腕を組んで黙っていた。

『食べ』

あの時差し出された干し柿は、今や自身の好物で、

『乱菊』

読めない笑顔が、目を閉じなくても浮かんでくる。

『すごい事だったんだよ』

やっと、やちるの言っていた事が分かった。

「でも、華奈をあそこまで理解できてんのはあの眼鏡だけみたいだしね」

笑って、歩き出す。

「華奈―!今から甘味処行くけどあんたも来るー?」

昨日のお詫びとはいかないが、今日はあの子の好きなものをなんでも食べさせてあげよう。

手を振っている乱菊を見て、抱きついている伊江村を見上げた。
そうすれば、笑って頭を撫でて、行っておいでと背中を押してくる。

「窓は開けておきますね」

その一言に、嬉しそうに笑って走り出した。

「行ってきます!」

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