ブリーチ2(夢)

□カナ53
1ページ/4ページ



「華奈ー」
「はい?」

「お前なんでそない十一番隊がええねん」

五番隊に書類を届けに来た華奈を手招いて近くへ来させながら聞いてみた。

「好きだからです!」

ど直球にそう言って、じゃっと手を上げて帰ろうとする。

「待て待て、そないすぐ帰ろうせなや」

傷つくわーと華奈を引き止めた。

「えー、でも今日は恋次さんたちと蹴鞠の続きするんですよ」

早く行って遊びたいんですと振り向いてくるその顔は子供そのもの。

「蹴鞠て、」
「あっ!もうみんな集まってる!!」

五番隊の窓からかろうじて見える六番隊の庭に顔を向けながら、よっと窓枠に足をかけて、

「失礼しました!!」

出ていってしまった。
その背中を見送ってから、フムと考えて自分も窓枠に足をかけて執務室を後にした。

「恋次さーん!お待たせしましたー!」
「おー、来たか。って!なに平子隊長まで連れて来てんだよ!」

「連れて来て無いです!ついて来たんです!」
「華奈くん、仮にも隊長だから、相手」

吉良が注意すれば、華奈は納得がいかないという顔をしながらも頷いてみせる。

「華奈、蹴鞠で俺が勝ったら五番隊にこいや」
「嫌です」

フンッと顔を背けて恋次の後ろに隠れる華奈は、何を警戒しているのか。

「そないはっきり言われたら、傷つくわー」
「だって、はっきり言わなかったら伝わらないじゃないですか」

恋次を楯に平子を見上げる。

「俺を楯にすんなよ」

おいとツッコミながら華奈の頭に手を乗せれば、うーと唸りながらもその手に従った。

「・・・なるほどな」
「?」

平子の呟きが聞こえた吉良は顔をこちらに向けて首を傾げて来るが、ニヤリと口角を上げるだけで何も言わない。

「せや、どうせ遊ぶなら楽しもうや!」

ちょっとまっとれと、懐から通信機を取り出してどこかへ架ける。

しばらくして、

「おい、何だよ用事って」
「なに?このメンツ」

やってきたのは拳西とローズ。

「よし、揃ったな、これからみんなで蹴鞠するでー」
「はぁ!?」

チームもうまく別れたことだし調度良いと、平子は拳西たちの方へ歩いていく。


かくして、よく分からないまま試合が行われる事になってしまった。

「ていうか、隊長たちってルール知ってんすか?!」
「アホ、当たり前や。こっちはずっと現世におったんやぞ」

フットサルくらい知っとる。なぁ?と呼んだ仲間を振り返れば、

「いや、知ってるけどさ」
「んなくだらねぇ事するために呼んだのかよ」

まったくやる気を感じられない。

「・・・バラバラですね」
「ノリの悪い奴らやなー」

はぁとため息をついて腕を組み、チラリと華奈を見てから二人に視線を戻した。

「ええやんか、これも交流や。隊長格以外の者と触れ合うんも大事やで?」
「あ?」

隊長格以外?と眉を寄せ、平子のとなりにいる小さな少女を見下ろす。

「紹介しとこか、華奈や。十一番隊の」
「どうも」

頭を下げたその姿を見て、二人は眼を見開いた。

平子から聞いた話しに出てきた華奈という少女。
この間行われた隊主会でも話題が出た張本人。その人物が、こんなに小さな少女だというのか。

あの藍染が欲しがった、人材。

「へー?」
「こいつが、な」

「?」

自分達を見上げて首を傾げている少女が、そんなに強いようには見えない。
感じる霊圧もそこらへんにいる者たちと何も変わらない。

「やる気出てきたやろ」

ニヤリと笑う平子に、二人も笑って頷いた。

「あ、あの、私なにかしましたか?」

冷や汗を流しながら恋次たちを見上げる。

「気にすんな」
「僕たちと遊んでるから珍しがってるだけさ」

「そ、そうですかね?」

ものずごい視線を感じる。
隊長三人に見られるといういたたまれなさで、背中が痛い。

華奈は、未だに知らないのだ。
藍染が最後に残して行った言葉も、総隊長たちが会議の議題に上げるまでその力を知ろうとしていた事も。

知っているのは隊長格と、その近くにいる事を許されている上位席官だけ。その席官たちも、華奈にはその事を伝えていない。
伝える必要はないとも思っている。

華奈は、自分達を裏切らないと分かっているから。

平子たちからすれば、それが分からない。
裏切らないなど、言い切れるものか。華奈がいつ何を思って、その隠している力をこちらに向けてくるかも分からないというのに、それを野放しにしているのが気に食わない。

気に食わないというよりは、心配なのだ。自分達が、そういう経験をしているだけに。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ