ブリーチ2(夢)

□カナ49
1ページ/3ページ



荻堂がいると言うことは、十番隊、五番隊も到着したということだ。
そして、六番隊もやってきた。
ぞくぞくと他の隊がこちらへ到着するにしたがって、四番隊の仕事も増えていく。
重傷を負った者はソウルソサエティへ帰還させられ、戦闘に復帰できそうに無い者もまたしかり。
そうして戦闘員もかなり減った頃、後方で治療していた卯ノ花がやって来た。

「お疲れ様です、卯ノ花隊長」
「えぇ、こちらでの重傷者は?」

「は、応急処置、もとい生命維持を確認後、帰還の手配を行い、先ほど出発いたしました」
「そうですか」

伊江村の報告に頷いて、救護用テントへ入っていく。グルリと周りを見て、

「疲れが見えて来ましたね。一番隊、二番隊、三番隊、九番隊、十二番隊、十三番隊が帰還しだい、そちらへ振り分けていた半分の班をこちらへ」

もう半分はソウルソサエティへ帰還した者の治療を、そう指示を出していく。

「後方の治療、帰還も終わった今、ここを拠点とします」
「はっ」

この戦いももうすぐ終わる。最後の地区の討伐が、もう目前だ。

「んだよ、もっと残る隊を減らしていいだろ」

六隊も必要ねぇよとぼやくのはもちろん、戦闘狂の剣八だ。

「まぁ、早く終わらせて帰って来いってことじゃない?」

この状況なら明日にも終わりそうだねと、笑って見せる京楽にケッと返してゴロリと横になった。

「それにほら、六隊も残ったっていうけど、もうほとんどの子が帰っちゃってるから、そんなに人数はいないじゃない」

「八番隊はお前一人だしな?」

居て意味あんのかと聞かれ、居ないよりはマシでしょ?酷いなぁと肩を落として見せる。

「伊江村さーん」

声がした方を見れば、主人に駆け寄る犬の、もとい華奈の姿が。

「手伝います!」

尻尾をブンブンとちぎれんばかりに振る幻覚が見えてきそうだ。

「華奈くんは元気だねぇ」

こんな戦場でも空気を和やかにさせてしまう華奈に、笑いが漏れる。いい意味で。

「華奈さん、後で包帯を取り替えましょうね」
「わかった!」

ここでも主治医は花太郎だけらしく、華奈は傷の手当も全て花太郎に任せている。だからからなのか、四番隊の仕事を自ら進んで手伝う。

「体に無理をかけない程度にしてくださいね」

華奈七席は戦闘もしているのですからとその頭を伊江村が撫でれば、

「はい!」

心底嬉しいという表情で華奈は伊江村に抱き着いた。

「なんだか、可愛いね、見てると」
「・・・」

その言葉にはため息を返しておく。

「!」

伊江村の腹に埋めていた顔を上げると、森の方を見て固まる華奈。
次の瞬間には、この場所を取り囲むように大量の破面の霊圧が感じられた。

すぐにみんなが戦闘体勢に入る。

華奈も刀を持って走り出そうとしたその時、パシリと手を掴まれた。
振り返れば、伊江村がこちらを見下ろしていて、

「無理をせずっ、必ず無事に帰ってきてください」


私は思うのです。


「はい!」

いつものように、満面の笑顔を見せて華奈は駆け出した。


あなたが私の頭を撫でて、幸せを感じると、


「華奈、あんま無茶すんじゃねぇぞ!」
「一角さんだって!怪我いっぱいしてるじゃないですか!」

「こんなもんっ、ねぇのと同じだ!」

方々に散っていくみんなと同じように、華奈も一人で駆けていく。

「なんだ、随分小せぇのに当たったな」

華奈の何倍もありそうな一体に向き、刀を抜いた。

「こっから先には行かせねぇ」


私はなんの迷いもなく、この命を使って、賭けて、戦って行けるのです。






「ここ一帯に結界を張ります」

卯ノ花の指示に従って、伊江村が結界張った。

「伊江村三席」
「はいっ」

「信じましょう」
「は?」

「あの子は、とても強い子です」

卯ノ花が言わんとしている事を理解した伊江村は、返事をして顔を森へ向けた。

分かっている。君は強い。
きっと、無事に戻って来る。
そして、いつものように、そう、いつものように抱き着いてきて、僕が頭を撫でれば嬉しそうに笑って見上げてきてくれるんだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ