ブリーチ2(夢)

□カナ48
1ページ/4ページ



「いくぞ華奈!ぜってぇ負けんじゃねぇぞ!」
「はい!!」

六番隊の庭で蹴鞠の試合が開催される今日、恋次と同じチームになった華奈は一緒になって燃えている。

「華奈ちんがんばれー!」
「華奈先輩頑張ってー!!!」

「おー!まかせとけぇ!」
「キャー!!!!」

まだ始まってもいないのに盛り上がっている夏帆はさて置き、他にも観客は沢山いたりする。

「華奈ちゃん頑張ってね!」
「のどか湧いた時の用意も出来てるよぉ」

「怪我には気をつけて下さいねぇっ」

コートの外に敷物を敷いて、飲み物、救急箱、タオルその他を準備しているのは全員華奈の友達。

「・・・お前の友達って、」
「?」

「いや、何でもねぇ」

子供の運動会を見にきた親かと言いたいが、その言葉は飲み込んだ。

「喰らえー!!」
「どわっ!誰か止めろっ」

「はははっ!見たかこのドリブル!!」
「華奈だ!華奈をマークしろ!ちいせぇからすばしっこいぞ!」

「小さいは余計ですよ!!」

そんな感じで前半終了。

「華奈先輩お疲れ様です!あの、このタオル、つ、使って下さい!!」
「ありがとうな夏帆、この前も借りたのに」

「そ、そんなっ」

キャー!!と両手で顔を覆って悶える夏帆。それを見ながら、

「なぁ」
「ん?」

「アレって普通女が男にやるのが常じゃねぇのか?」
「あー、あいつに限っては無いっすね」

夏帆は華奈に憧れてるんでと、華奈の友人の花音から渡されたタオルで汗を拭きながら楓から水を貰う。

「おー、本当に試合やってるぜっ」
「何だか、汗くさそうな集まりだね、ここは」

「見に来てくれたんですか?」

わー!と両手を振ってこちらにやって来た一角と弓親に笑顔を見せる。

「つーか、なんで副隊長がいるんですか?」
「だって華奈ちんがここに来る途中でコンペイ糖くれたんだもん!」

ほら!と、袋に入っている砂糖の塊を揺すって見せた。

「上げたらついてきちゃって」
「釣られてんじゃねぇですか」

そんなやり取りを少しして、恋次に呼ばれたのでそちらへ走っていく。一角は周りを見回して口を開いた。

「あのヤローは来てねぇのか」
「?」

花太郎が首を傾げれば、何でもねぇよとその場にドカリと座り込む。
そんな一角の隣に、ため息をつきながら腰を下ろす弓親。

「気になるからってここまで来るとはね」
「うっせーな、そんなんじゃねぇよ」

「そう?」

肩をすくませて、女のような相方から眼を背けるように柔軟をしている華奈へ顔を向ける。

「おー、お前相変わらず体柔らけぇな」
「その方が怪我しにくいって言われて、毎日伸ばしてますからね!」

「ほー」

よっと掛け声をかけながら立ち上がった華奈に、恋次は小さく笑って頭を撫でる。

「今度、また手合わせするか?」

その言葉に眼を輝かせて何度も首を縦に振るその姿は子供のそのもので、面白い。

鞠を追い掛けて走っている華奈の姿は、

「やっぱり猿に見える」
「それ、華奈が聞いたら怒るよ?」

一角にはやはり可愛い妹分にしか見えず、というか子猿にさえ見えてしまい、それが伊江村とくっつくというのがどうも分からないらしい。

「なに、二人が付き合う事にはもう納得したの?」
「・・・あんなの聞いて、どう反対しろってんだよ」

それも、伊江村が華奈を好きで付きまとっているというならまだしも、華奈が伊江村を好きで追い掛けているのだ。
何が言えようか。

死んで生まれ変わったとしてもその魂を守り続けるという華奈に、何が言えるというのか。

「まぁ、僕も華奈のそういうところは気に入ってるけどね」

真っ直ぐなあの眼は美しいからと、元気よく走っている華奈を見て微笑む。

「それで?問題の眼鏡が何で来てねぇんだよ」
「知らないよ、そんなの」

っていうか、別に来てなくても問題はないじゃないと返して、顔は前を向いたまま話していれば、

『緊急事態発生、至急上位席官の皆様は各隊舎へ戻り隊長の指示に従って下さい』

それは一角と弓親だけに聞こえた訳では無かったようで、試合をしていた恋次を初めとする席官たちはもう散りじりに走りはじめていた。

「華奈!」
「はい!」

華奈は、それぞれ走り出していた旧友達に声をかける。

「気をつけてな!」
「うん!」

「華奈ちゃんもねっ」

手を軽く上げて、走る速度を上げた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ